企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はシューズ小売りチェーンのABCマート国内事業の収益モデルを解説する。
ABCマートは、もともと1985年に「ホーキンス」の日本の輸入代理店など、卸事業からスタートして、90年に「ABCマート」の1号店を出店しました。
有価証券報告書を見ると、日本の靴市場は1兆3000億円とあり、そのうちの約15%、国内で1979億円を売り上げ、シェアナンバーワンです。
連結決算は国内海外合わせて年商2900億円で、国内の売上高が約3分の2で、韓国が2割ほどあります。売上高の7割がナショナルブランド(NB)、3割がプライベートブランド(PB)です。 今回は提出会社である国内ABCマート事業を見て行きます。
2012年から事業の推移を見ると、10年前は1318億円だったのが、今1979億円と1.5倍になりました。店舗売り上げが89.2%ですので、その他のECと卸の合計が10.8%。EC比率は10 %弱と推定されます。
そして営業利益率がコロナ禍前までは20%と高いです。23年2月期、売上高は過去最高を記録しましたが、営業利益は18年2月期がピーク。このあたりで国内事業は成熟期に入ったのかもしれないというのが、私の見立てです。
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