ワールドと日本政策投資銀行のファンド運営会社W&Dインベストメントデザイン(W&DiD)は、10月3日に破産した子供服メーカーのニットプランナー(東京)の事業を引き継ぐ。受け皿となる新会社KPを設立し、従業員約100人、国内の45店舗を譲受する。ワールドの子会社で子供服大手のナルミヤ・インターナショナルの主導で再建する。
W&DiDは、ワールド子会社のワールドインベストメントネットワーク、ナルミヤ、日本政策投資銀行に対して株式を割り当てて調達した資金をもとに、KPを設立した。KPの社長にはニットプランナーの中国事業を担当していた董世軍氏が就任し、W&DiDから3人、ナルミヤから1人が取締役として入った。ワールドおよびナルミヤの経営資源を活用して、経営を軌道に乗せる。
ニットプランナーは1973年創業で、百貨店を中心に「KP」「KPボーイ」「トロワラパン」「KPデコ」を国内で45店舗運営するほか、専門店への卸売りをしてきた。23年1月期の売上高は16億円。老舗ブランドとして知名度があったものの、コロナもあって近年は赤字が続き、10月3日に自己破産を申請した。負債額は16億9000万円。
W&DiDの田口敬二郎代表取締役は「市場の変化についていけず、旧態依然の経営を続けていたことが原因だが、50年以上続くブランド価値や商品開発、販売力を生かせば、十分に再建できる」と見込む。
在庫を含めた財務の健全化を図るとともに、ナルミヤのマーケットインの経営手法を移植する。手薄だったEC(ネット通販)とアウトレットモールへの出店にも力を入れる。中国の10店舗を一旦クローズし、近い将来に再スタートさせる。中国で「KP」は一定の認知度があり、国内のインバウンド需要とも連動した戦略市場と位置付ける。
現在、ナルミヤは売上高構成比でショッピングセンター(SC)系のブランドが7割、百貨店系のブランドが3割。国京紘宇社長は「KPは50年の歴史がある。子供服の世界でいえば、父母世代だけでなく、祖父や祖母世代にも知られているアドバンテージは大きい」という。百貨店でナルミヤとKPでしっかり売り場を確保して、上質な子供服を求める潜在的な顧客の期待に応える。