伊勢丹新宿本店は11月18〜23日、第3回目となる香りの祭典「イセタン サロン ドパルファン」を本館7階催物場で開催した。ファッションスタイルに合わせて提案するとともに、約1カ月前からの施策が奏功し、売り上げ対前年比約150%と伸長した。
3年前に同店が香りの祭典を開催したのは、香り入りの柔軟剤が当たり前になっていることなど、日本も香りの文化が浸透してきたことに加えて、ホリデーシーズンを前に、フレグランスに最も動きがある時期であることが理由だった。香りに対する需要、可能性を感じたと手応えを得て、2年目、3年目へとつながる祭典となった。
3回目の今年は、毎日服を着替えるように香りを着こなす、より香りを楽しむ提案で、「香りのクローゼット」をテーマに、ファッショントレンドに合わせ、4つの香りのスタイルを訴求。4つの香りは、1.エフォートレスシック......肩の力を抜いておしゃれに楽しむ香り。2.スイート&ハッピー......好感度アップで幸せな気分に浸れるような香り。3.ニューマニッシュ......ジェンダーレスでスマートな印象の香り。4.ウルトラフェミニン......ドレスアップをしたいときにぴったりの香り。「香りの奥深さや歴史、ブランドごとの世界観を、香り空間の中で表現することで、お客さま一人一人に合った香りとの出合いの場を提供し、お客さまのライフスタイルに香りがもっと寄り添うようなひとときへとつなげたい」(入月雅子・化粧品バイヤー)という思いを込めた。
この思いを多くの人に発信したいということからまずは、美容感度の高い顧客層の動員に向け、告知訴求を開催1カ月前の化粧品クリスマスカタログ10万部に同送。その後、SNSなどを活用して拡散、店頭媒体などで計画的に告知を行った。今回の参加ブランドは約40。1階で人気が高い「トム フォード ビューティ」が初参加し、日本未導入の「エリーサーブ」が出店するなど、新たなブランドに加え、「ゲラン」「ディプティック」「ペンハリガン」「メゾン フランシス クルジャン」「ミュウミュウ」「クロエ」などそうそうたるブランドが出店した。会場では、各参加ブランドのブース内で4つのテーマに合った製品を展示。恒例のセミナーでは、「ジョー マローン ロンドン」が初参加し、香りのコンバインニングをセミナー形式で提案し好評だった。また、フレグランスアンバサダーでモデルの前田典子による「香り×ファッション」のトークショーを実施し、「非常に動員に繋がった」と自信を見せた。その他、セミナー会場では、セミナー以外の時間は"ギャラリーブース"とし、各ブランドのパフューマーや調香師、ブランドの歴史を展示した他、香りのイメージビデオを上映。さらに連動して、「ゲラン」ブースでは、香りのギャラリースペースを設け、各調香師のヒストリーや代表的な香りを紹介。「美術館を巡るような仕掛けを行った」と述べ、多角的な取り組みで同祭典を盛り上げていった。
「計画的に動員策を図ったことで、初日から最終日まで大勢の人でにぎわった。3回目の出店となるブランドも多く、母娘、女性の友人同士が多い中、男性の姿も見られた。また、一つ一つのブースで香りを試し、気に入る香りとの出合いを求めている姿が多く、ワインをたしなむように、香りを楽しむ姿が見られた」とし、祭典の認知の拡大とともに、日本での香りの文化の広がりを感じたという。
「伊勢丹からフレグランスの文化を発信し続けたい」と、4回目の開催も視野に入れる。「東京エリアだけでなく、全国のお客さまが目的に来店されるような打ち出しをしていきたい」と意気込んだ。