7年にわたり「グッチ(GUCCI)」を手掛けたアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)前クリエイティブ・ディレクター退任のニュースが発表になった昨秋は正直、「7年の在任期間で売上高を3倍近くまで押し上げたのにも関わらず、ラグジュアリーの世界はシビアだ」と思わざるを得なかった。しかし年が明けた2023-24年秋冬シーズンでは、ミケーレのクリエイションとは真逆のクワイエット・ラグジュアリーという価値観が形作られて台頭。ロゴを大きくのせたり、原色をカラーブロッキングしたり、極端なプロポーションバランスを採用したりのSNSフレンドリーなスタイルは落ち着き、控え目で物静かだからこそ、洋服ではなく着る人が主役になるスタイルが広がっている。新たな時代に突入した実感が強くなった今、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)新クリエイティブ・ディレクターの新生「グッチ」を見ると素直に共感できるのだから、ファッションとはつくづく移ろいゆく人々の気持ちによって変わるし、反対に人々の気持ちを変えるものなのだろう。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月9日号からの抜粋です)
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