「これは一流のものです」といった情報を伏せた状態だと、何十倍も値段が違う料理やワインも、プロのミュージシャンと吹奏楽部の高校生の演奏も識別するのは難しい。視聴者もクイズとして参加できる楽しさだけでなく、「違いが分かる人間でありたい」と願う出演者の悲喜こもごもだったり、行きすぎたブランド信仰への皮肉だったり、いろんな要素が重なって見る人を引きつけるのでしょう。
折りしもファッション業界では原宿の「匿名宝飾店」が話題になっていました。
期間限定営業の前半はブランド名を明かさずに運営し、後半に「ヨンドシー(4℃)」だと公表すると、SNSで大きな話題になりました。来店者は計画を大幅に上回ったそうです。同ブランドは近年、SNSなどでネタとしてイジられる傾向が強かった。その状況を逆手にとって先入観なくジュエリーそのものの価値を見せるマーケティングは鮮やかでした。
同じく9月、「極麻辣麻婆豆腐飯店」という中華料理店が1週間限定で新宿にオープンしました。本格的な麻婆豆腐定食を500円で提供して話題を集めました。こちらも実は味の素の「クックドゥ」の新商品であったことが後日明かされました。大手食品メーカーの合わせ調味料という先入観を排して、本格的な中華料理として味わってほしいという狙いです。
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