バッグメーカーのクイーポ(KUIPO)は、パリ発のレザーバッグブランド「RSVP」と日本における独占輸入販売契約を結んだ。2024年春夏シーズンから本格的に取り扱いを始める。初年度の売上目標は5000万円。3年以内に年間売上高3億〜5億円を目指し、銀座にショップを設ける計画だ。
「RSVP」は2015年、「ルシアン ペラフィネ(LICIEN PELLAT-FINET)」や「ボンポワン(BONPOINT)」で経験を積んだデザイナーのオロール・ドゥ・シャノード(Aurore de Chanaud)や、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン (LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)で生産管理に携わっていたジョナサン・アンドレス(Jonathan Andres)らが4人で設立。ブランド名は、欧米でパーティーやイベントの招待時に広く使われているフランス語の略語「R.S.V.P.」(“返信お願いします”の意)に由来。ECからスタートしたが、設立初期からパリの老舗百貨店ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)で取り扱われており、現在はマレ地区と韓国の江南(カンナム)にショップも構えている。
レザーは、フランスのエルメス(HERMES)傘下のタンナリーから調達し、金具はロゴが刻印されたオリジナルを使用。バッグはスペイン、カードケースなどの小物はフランスで生産している。そんなアイテムの特徴は、1SKUにつき500個限定で、全てにナンバリングが施されていることだ。次々に新しいモデルを作るわけではなく、シーズンごとに打ち出す新作は多くても2型。定番モデルには毎シーズン、4〜5色の新色を提案する。24年春夏は、黒や茶、キャメルなどのクラシックな色合いに、新たに鮮やかなグリーンと深みのあるパープル、淡いグリーンとイエローが加わる。カラーバリエーションの豊富さは、店頭で並んだ時にも目を引く。
価格は、丸いメタルパーツが象徴的なショルダーバッグの“ゴールデンアイ”が9万6000円、そこから派生したワンハンドルのミニバッグ“マンチカン”が8万9000円、収納部がダブルになった“デュオ V2(DUO V2)”が12万8000円など。ラグジュアリーブランドを筆頭にレザーグッズの値上げが続く中、価格と質のバランスに優れた10万円前後のレザーバッグを求める店は多い。23年秋冬にはトゥモローランド(TOMORROWLAND)が取り扱いを始め、24年春夏からはドロワー(DRAWER)でも販売される。また、伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店でのポップアップイベントも予定している。
クイーポは、1999年にスタートした自社ブランド「ゲンテン(GENTEN)」を手掛けるほか、「アナ スイ(ANNA SUI)」や「ダックス(DAKS)」「ランバン オン ブルー(LANVIN EN BLEU)」とのライセンス契約によるバッグや財布の企画生産と販売を行なっている。海外ブランドの輸入販売はそれに次ぐ柱をして注力している事業だ。同事業を担う岡田孔明常務取締役営業本部本部長は、「クイーポはもともと『プラダ(PRADA)』の日本における輸入販売の第一人者だった。近年インポートはほぼやっていなかったが、20年に私が入社してから加速させている。日本向けにアレンジしすぎず、本国と連携しながら同じ世界観を表現していく。『RSVP』が大切にしているのは “枯渇感”。シーズンごとにどんどん新しいものを提案していく時代でもないので、流行り廃りがなく長く愛用していただけるアイテムを届けたい」と話す。