ビューティ賢者が
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ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、バラエティーショップとドラッグストアのコスメフロアの新たな取り組みの話。
弓気田みずほ/ユジェット代表・美容コーディネーター プロフィール
(ゆげた・みずほ)伊勢丹新宿本店化粧品バイヤーを経て独立。化粧品ブランドのショップ運営やプロモーション、顧客育成などのコンサルティングを行う。企業セミナーや講演も。メディアでは化粧品選びの指南役として幅広く活動中
【賢者が選んだ注目ニュース】
9月29日に銀座ロフトとマツモトキヨシ渋谷Part2店がそれぞれリニューアルオープンした。どちらもビューティカテゴリーに重点を置いた構成で、トレンドを大きく反映した店となった。今回はオープン初日の店内の様子とともに、それぞれの店がもつ役割を分析したい。
ビューティの「旬」を集めた銀座ロフト
銀座ロフトはロフトの次世代型大型旗艦店として2017年にオープン。19年に大幅増床を行い現在の6フロア構成となった。今回は1~5階のフロアを再構築し、6階にはニトリの小型店フォーマット「ニトリEXPRESS」を導入。2階は以前からビューティ&ヘルスのフロアとなっていたが、MD構成を大きく変えて韓国コスメやメンズビューティ、美容家電のコーナーを拡大。初日は恒例の「ロフトコスメフェスティバル」の開催期間中で、美容誌「ヴォーチェ」とのコラボレーションでプロモーションを行っていた。「ヴォーチェ」は9月21日発売号の特別版に「コスメフェスティバル」とのタイアップ小冊子を封入、さらにロフトで扱うブランドのサンプルセットを付録にした。店舗と美容メディアとのコラボ企画は百貨店で長く行われてきたが、バラエティーショップとの取り組み事例はまだ珍しい。美容誌の「お墨付き」を得たいブランド側と、新規読者との接点を求める媒体側の思惑が一致したともいえる。
新しくなったビューティフロアで、一つの目玉となっているのが韓国コスメゾーンだ。この9月に本格上陸した「ピーチシー」のほか、「シピシピ」「ウォンジョンヨ」などSNSで人気のメイクブランドが存在感を発揮している。メイクアップコーナーの中央にはテスターバーを大きく設置し、アイシャドウパレットやマスカラ、リップなど、おもなブランドのテスターがぎっしりと並ぶ。コロナ禍以降、セルフ店舗ではテスターが撤去され、バーチャルメイクシミュレーションに置き換わる動きもあったが、銀座ロフトではむしろ「手に取って試せる」ことを1つの価値と位置付けているようにも見える。メイクコーナー以外にも、ヘアケアコーナーにはドレッサーを設置し、鏡を見ながらスタイリング剤を試せるようになっている。スタイリングツールも充実しており「ダイソン」「リファ」のほか、超音波でトリートメントの浸透を促すアイロン「ケアプロ」や、「アルーア」など海外ビューティメディアで高評価を得ているヘアケアドライヤー「ズヴィ ヘイロー」といった新進ブランドの商品もそろう。 メンズビューティのコーナーは、クラシックなバーバーを思わせる什器がポイントになっており、スキンケアやヘアケア、フレグランス、メイクアップまでをワンストップで集積。女性の目を気にせず選ぶことができる点に工夫を感じた。1人で商品をじっくり見ている男性客も複数おり、メンズビューティの新しい発信地となるポテンシャルは高そうだ。
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