米アパレル企業のBCIブランズ(BCI BRANDS)は、新たな会長として、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」などを擁するPVHコープ(PVH CORP)のエマニュエル・キリコ(Emanuel Chirico)前会長兼最高経営責任者(CEO)を任命した。
キリコ新会長は、ビジネス特化型SNS「リンクトイン(LinkedIn)」のプロフィールによれば、1993年にバイス・プレジデント兼コントローラーとしてPVHに入社した。同社が2003年に「カルバン・クライン」を買収した際には、最高財務責任者として尽力。05年に社長兼最高執行責任者に、06年にはCEOに就任した。07年には会長兼CEOに就任し、14年にわたって同社を率いた。21年2月、ステファン・ラーソン(Stefan Larsson)社長(当時)にCEO職を譲り、会長職の傍ら業務の引き継ぎを行った後、同年末にPVHを離れた。なお、BCIブランズに加わるにあたり、同社の少数株式を取得している。
BCIブランズ(当時はバーナード・ショー・インク)は、1975年の創業。2012年、米シューズウエア大手のカムート・グループ(CAMUTO GROUP以下、カムート)が同社の株式の49%を取得。15年には、創業一族のショー家が保有していた51%分もカムートが取得して完全子会社化したが、18年に創業者の息子で現在のCEOであるアリエル・ショー(Ariel Chaus)が株式を買い戻してオーナーとなっている。現在、BCIブランズは「ヴィンス・カムート(VINCE CAMUTO)」「ショー(CHAUS)」「シンシアステフィー(CYNTHIA STEFFE)」などの卸や、米百貨店のノードストローム(NORDSTROM)やメイシーズ(MACY'S)などのプライベートブランドを手掛けており、卸事業の売り上げは年間4億ドル(約596億円)以上だという。
キリコ新会長は、「BCIブランズは競争力の高いブランドを複数持っているほか、定価での販売チャネルや適切なキャッシュフローなど、さらに大きく成長できる可能性を秘めている。私のスキルや経験を役立て、新たな取引先などを開拓しつつ、アリエルとともに当社をさらに発展させていきたい」と語った。
ショーCEOは、「エマニュエルは、深く幅広い知識や経験に加えて、比類のないプロフェッショナリズムを持つアパレル業界のレジェンド的な存在だ。その人脈と戦略的なアドバイスは、当社をさらに成長させてくれるだろう」と述べた。