スイス発の「ショパール(CHOPARD)」は10月5日、2019年にデビューしたラグジュアリースポーツウオッチ “アルパイン イーグル(ALPINE EAGLE)”コレクションの新作モデルをジュネーブで発表した。イーグル(ワシ)の鋭い目の虹彩から着想した文字盤や羽根からヒントを得た秒針が特徴の同コレクションは、1970年代末にカール・フリードリッヒ・ショイフレ(Karl Friedrich Scheufele)共同社長が初めて考案したスチール製ウオッチ“サンモリッツ(ST. MORITZ)”を現代的に再解釈したもの。その開発には、カール・フリードリッヒ共同社長と息子のカール・フリッツ(Karl Fritz Scheufele)、父のカール(Karl Scheufele)会長というショイフレ家の親子3世代が携わった。年々バリエーションを増やし、現在は33、36、41、44mm径の4サイズ展開で、クロノグラフのほか、高振動ムーブメント、フライングトゥールビヨンなどの複雑機構を備えたモデルをラインアップしている。
今回登場した新作は、鮮やかな色が目を引く“マリタイムブルー”の文字盤とスポーティーなラバーストラップで仕上げた“アルパイン イーグル XL クロノ”。同コレクションでは、これまでもアルプスの美しい自然の色彩からインスピレーションを得てきたが、“マリタイムブルー”は山脈の南斜面から見下ろす地中海を連想させる。44mm径のケースには、リサイクルスチールを80%用いた独自素材“ルーセントスティール”を使用。金属アレルギーを起こしにくく、磨耗耐性に優れた素材は、上品な輝きを放つ。またムーブメントは、スイスの工房で職人が開発から組み立てまでを一貫して行う機械式自動巻きクロノグラフムーブメント“ショパール 03.05-C”を採用。60時間のパワーリザーブを確保し、クロノグラフ機能の正確な調整とスムーズな操作性を保証する巧緻な機構が特徴だ。価格は295万9000円。日本での発売日は未定だが、「ショパール」のブティックのみでの限定販売を予定する。
アルプスでの環境保護活動でも
新プロジェクトを始動
ショイフレ共同社長は新モデルの発表に合わせ、アルプス山脈の専門家と愛好家と共に2020年に立ち上げた非営利組織アルパイン・イーグル・ファウンデーション(ALPINE EAGLE FOUNDATION)の活動に関しても、新たなプロジェクトを発表した。同財団の目的は、「アルプス地域全体、そしてその地で暮らす生命のために、人々の意識を高め、支援を集め、行動を起こすこと」。22年からは最重要プロジェクトとして、レマン湖畔でのオジロワシの再導入に取り組んでいる。湖の周辺はもともと同種の生息地として知られていたが、人間による狩猟などによって130年前に姿を消したという。その復活を図るため、湖の近くにあり、80種320羽の鳥類を飼育する「レマン湖のワシ」動物公園で育成が行われており、22年6月には最初の4羽のヒナが巣立った。30年までに約80羽を自然界に放つことを計画する。
そんな「レマン湖のワシ」動物公園で発表された新プロジェクトは、ベルン大学保全生物学部長のラファエル・アルルタ(Raphael Arlettaz)教授と共同で取り組むもので、スイスアルプスに生息するイヌワシの保護にフォーカス。山脈の標高の高い場所への風力タービンの設置によってイヌワシのような大型猛禽類がブレード(タービンの羽根)に衝突する可能性が高まることから、潜在的な影響を予測し、リスク地域へのタービン設置回避を目指す。具体的には、イヌワシの飛行高度パターンのモデル化や、地形や気象条件、餌の有無が飛行行動に及ぼす影響の研究、飛行回避行動の調査により、衝突危険性の高いエリアを特定するツールを開発し、保護に役立てるという。
また、「ショパール」はアルパイン・イーグル・ファウンデーションの継続的な活動を支援するため、22年秋にローンチした深みのあるパイングリーンの文字盤を備えた“アルパイン イーグル 41”の“ルーセントスティール”製モデル(232万1000 円)と18Kエシカルローズゴールド製モデル(789万8000円)の売り上げの一部を寄付している。