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「サロパ」で来日続々 美貌の調香師によるフレグランス「エラ ケイ」の “引き算”の美学

PROFILE: ソニア・コンスタン/「エラ ケイ」創業者兼調香師

ソニア・コンスタン/「エラ ケイ」創業者兼調香師
PROFILE: フランス・パリ生まれ。1999年イシプカ香水専門学校で学び、2001〜4年、ジボダン香水スクールに在籍。ベルサイユ大学で演劇コースを学ぶ。ジボダンでマスターパフューマーとして活躍。17年から現職

フランス発ニッチフレグランス「エラ ケイ(ELLA K)」の創業者兼調香師のソニア・コンスタンが新作“ムスク K”の発表会のために来日した。「エラ ケイ」は2017年に設立、“旅”をテーマにしたフレグランスを提案している。同ブランドは、17日まで伊勢丹新宿本店で開催されている「サロン ド パルファン 2023(SALON DE PARFUM 2023)」にも出展し、新作“ムスク K”の先行販売などを行っている。

コンスタンは大手香料会社ジボダン(GIVAUDAN)で唯一女性のマスターパフューマー。「ナルシソ ロドリゲス(NARCISO RODRIGUEZ)」「トム フォード(TOM FORD)」「カルティエ(CARTIER)」などに数多くの名香を調香してきた。来日した彼女に、自身のブランドについて聞いた。

「エラ ケイ」は自分の伝記のようなもの

コンスタンは、「子どもの頃はバレリーナになりたかった。それからデザイナーになりたいと思っていた。人々を魅了する香りをつくる調香師は魔法使いのよう。もともと香りが好きだったので、香りの楽しみとアーティスティックなことが結びついた調香師になろうと思った」と語る。長身でまるでファッション誌から飛び出てきたような彼女だが、調香師としてのキャリアはもう20年。自身のブランドを立ち上げたきっかけは、クリエイション全て自身で手掛けたかったからだという。「自分のブランドは、私自身の伝記のようなもの。1〜10まで、全て本物で嘘がない」。

さまざまなフレグランスを手掛けてきた彼女は、大手メーカーによるフレグランスは、マーケティングが必須なことを熟知している。「自分がオーナーであれば、予算もマーケティングも関係なく、原材料も自分が使いたいと思えば、とめどなく高価なものを使える」と話す。とはいえ、ナルシソ・ロドリゲスやトム・フォードといったデザイナーのフレグランスを手掛けるときは、そのブランドのDNAに組み込まれるように、哲学を理解して香りを調香するという。

夢を実現する女性へのオマージュ

ブランド名は、スイス人の女性冒険家であるエラ・マイヤールの名前と、コンスタンの祖父の名前のイニシャル“K”を組み合わせたもの。マイヤールは、20世紀初頭に女性写真家として、中国やロシアなど世界各地を旅した人物だ。コンスタンにブランド哲学を聞くと、「夢を実現する女性たちへ寄せたオマージュ。夢を実現する女性に、より大胆に、一歩踏み出してほしいという思いを込めた」と話す。「エラ ケイ」は、旅がテーマ。だが、外への旅と自分自身の内への旅を誘うような哲学的なブランドだ。「『エラ ケイ』は、私自身のアバターでもある。クリエイションを通して私自身が歩む道を見つけ、より解放される」。

引き算で表現する知られざる場所へ誘う香り

「エラ ケイ」では、毎年1つのペースで新作が登場する。旅がテーマということもあり、コンスタン自身が旅に出て、その土地の香を選び、香りへ落とし込む。その場所は、カザフスタンのアルタイ、ボツワナのオカバンゴ、ベトナムのサパ・バレー、日本の嵯峨野など、知る人ぞ知る旅先。コンスタンは、「ボードレールの『悪の華』の中にある“音”と“色彩”と“香り”の共鳴を大切にして、香りに落とし込んでいる」と話す。そのプロセスは、印象画の絵のように、旅先の瞬間を切り取り、ボトルに封じ込めることだという。「旅を香りで表現するのに大切にしているのは、できるだけ原材料を少なくしている点。彫刻家のように、引き算で香りを完成させる」。彼女のクリエイションのモットーは、”レス・イズ・モア“だと言う。「フレグランスとは感情。素晴らしい香りは感情を生まれさせることができるはず。『エラ ケイ』でいろいろな場所への旅を誘いたい」。

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