エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)の乳がんキャンペーンは、創業者の義理の娘である故エヴリン H. ローダー(Evelyn Lauder)元エスティ ローダー カンパニーズ シニア コーポレート ヴァイス プレジデントの「命を救いたい」という願いから、1992年に創設された。同社は毎年10月を「乳がんキャンペーン」月間と定め、乳がんのない世界実現を目指し、支援製品の収益金による寄付活動などを通じて乳がん研究をサポートするほか、様々な情報発信や支援活動を行っている。
活動開始から31年目を迎える今年は“美しい絆で、乳がんのない世界へ”をテーマに掲げ、清水寺や東京スカイツリーのライトアップをはじめ、収益金の一部が支援につながる限定商品などを展開している。10月26日からは乳がんに対する意識を高めるための美しいきっかけを作りを目指し、東京・丸の内ブリックスクエアでイベントを開催する。こうして長年にわたり乳がんキャンペーンを展開し続ける理由について、ジェームズ・アクィリナ(JAMES AQUILINA)ELCジャパン合同会社 職務執行者社長に話を聞いた。
“乳がんキャンペーン”と
ピンクリボンのパイオニア
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WWD JAPAN(以下、WWD):エスティ ローダー カンパニーズは“乳がんキャンペーン”とその象徴となるピンクリボンを広めてきたパイオニアだ。会社全体で取り組むその意義とは?
ジェームズ・アクィリナ職務執行者社長(以下、アクィリナ):乳がんは日本を含め世界中で最も診断数が多いがんである。乳がんと闘っている方をはじめ、患者のサポートをする家族、友人や同僚などそれぞれの背景や立場に関係なく、みんなで乳がんについて考えることが必要であると感じている。ピンクリボンは、“乳がんキャンペーン”に対する意識の向上や啓発のためのシンボル。10月になるとスタッフはピンクリボンのバッジを胸につけ、サムシングピンクのコーディネートで出社する者もいる。これは団結の印でもある。エヴリン H. ローダーがこのキャンペーンを開始した1992年当時は、乳がんについて気軽に話せるようなムードではなかった。それでは状況は改善しないとエヴリンは考え、乳がんについて安心して話せる環境をつくること、意識を向上させること、そして、乳がんのない世界を実現させるための研究や教育、医療サービスを提供することを目的にキャンペーンをスタートした。今では多くの会社が賛同し、様々な活動を行っている。そんなレガシーを持つ会社で働くことは、私の誇りでもある。
WWD:日本での “乳がんキャンペーン”がスタートしたのは?
アクィリナ:1997年にスタートした。今年も日本では東京スカイツリーや京都の清水寺をピンク色にライトアップし、26日からはイベントも開催しているが、こういった話題を通じて、人々が乳がんについて話題にしたり、乳がん検診やセルフチェックを考えたりするきっかけになることを願っている。また、清水寺では乳がんによって亡くなられた方への追善供養法要を行なった。世界中で行われているピンク色のライトアップには、罹患された方やそのご家族に対する団結、病気に関係する人々への敬意の意味も含まれている。
乳がんによる女性の死亡率は
1980年代から43%減少
WWD:31年間の“乳がんキャンペーン”で、手応えを感じた取り組みは?
アクィリナ:乳がんは日本を含め、世界的に最も多く診断されるがん※1であるが、乳がんによる女性の死亡率は、早期発見と医療技術の進歩によって、1980年代から43%減少している※2。弊社は世界で60以上の団体を様々な形で支援し続けており、現在までに寄付金総額1億1800万ドル(約176億円)以上、そのうち9300万ドル(約139億円)以上が「米国乳がん研究基金(BCRF)」を通じて、医療プロジェクトに活用されている。日本では2014年よりJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)に対して寄付を行っており、2023年10月時点で5000万円以上を寄付している。弊社はプレステージ製品を販売するグローバルビューティカンパニーとして、製品や店頭でお客様に接する販売員を通して、大きなインパクトを与えられると信じている。
WWD:グローバルではどのような活動が行われているのか。
アクィリナ:乳がんの研究開発はもちろん、経済的な理由などで医療機関へアクセスしにくい人に対し検診の機会や医療資源を提供したり、乳がん啓発資料の作成などに使用されている。それにより、乳がんを身近に感じることができている。
早期発見のために
セルフチェックの習慣化を
WWD:早期発見のためにはどのようなことが必要になるのか。
アクィリナ:日本の乳がんの60%以上は、セルフチェックによって見つかっている※3。その一方、昨年弊社がNielsenと共同で行なったアジア太平洋地域における乳がんに関する調査では、日本人回答者の67%が「セルフチェックに自信がない」と回答している。これは、同じ質問への回答が約30%だったアジアの他の国に比べて対照的だ。早期発見を促すためにも、セルフチェックに関する情報をもっと発信する必要があると、あらためて感じている。
WWD:10月26日〜11月1日の間、丸の内ブリックスクエアで開催するイベントに期待することは?
アクィリナ:誰もが気軽に参加できるこのイベントが、乳がんについて考え、正しく理解するきっかけにしてほしいと思う。26日のイベント初日には、私とJBCRGで実際に研究や診断に携わっている先生とのメディカルミニトークセッションやフラワーバルーンの配布などが行われた。フラワーバルーンには、乳がん啓発情報カードが同封した。誰もが身近に感じる花を、乳がんに対する意識を高めるための美しいきっかけになるように、と思いを込めている。
また、乳がんキャンペーンやイベント、支援商品に関して、インスタグラムで指定のアカウント@esteelaudercompaniesのメンションと、ハッシュタグ「#TimeToEndBreastCancer」「#乳がんのない世界へ」をつけてフィード投稿すると、乳がん撲滅のための活動へ募金できる施策を実施している。10月1〜31日の期間は、1投稿につき25ドル(約3700円)、最大7万5000ドル(1120万円)がBCRFに寄付され、10月26〜31日の期間は、1投稿につき2500円、最大100万円がJBCRGに寄付される。ぜひ気軽に参加してほしい。
WWD:乳がんのない世界実現のための次のステップは?
アクィリナ:乳がんは世界中で最も診断数の多いがんだ。そのためにも、早期発見のためのセルフチェックを日常生活の中に根付かせることがとても重要だと考える。私の母国である米国では、遺伝子検査も浸透しており、それが早期発見と生存率向上への近道の一つになっている。
われわれの施策を通じて定期的な検診も習慣づけていただけるように、これからも継続して情報発信していく。エヴリン H. ローダーが「一人の力では成し遂げることはできません。多くの方の力が必要です」と語ったように、今こそ、乳がんのない世界を共に実現しよう。
※2 American Cancer Society® Facts and Figures 2022-2024
※3 日本乳癌学会全国乳がん患者登録調査
丸の内でイベントを開催
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10月26日〜11月1日の期間、乳がんに対する意識を高めるきっかけづくりとして、イベント「PINK ME MARUNOUCHI」を丸の内エリアで開催する。同イベントでは、1000本のピンクフラワーバルーンと一緒に乳がん啓発情報カードを無料で配布する。丸の内ブリックスクエア イングリッシュガーデン噴水付近にはフォトスポットを用意する。
日程:10月26日〜11月1日
時間:フラワーバルーンの配布は10月27〜29日・11:00~13:00(数量限定)
場所:丸の内仲通りエリア
エスティ ローダー カンパニーズ 2023 乳がんキャンペーンPR事務局