ミラノ発−欧州連合(EU)は11日、化粧品の成分規制や承認手続き、表示義務事項に関して、これまで加盟国ごとに法令化を指示していた"指令"から、欧州委員会(EC)が直接の執行者となる"規制"へ改定した。化粧品指令は欧州各国の化粧品規制の統一化を目的として1976年に制定され、2009年から規制化へ向けて段階的に移行していた。ECはEUの組織で唯一、法を定めたり、条約を管理したりといった権限を持つ。
規制化によって細かな変更点はあるものの、基本原則の変更はなく、消費者の安全に対する事業主の責任と負担は増加する。変更点の1つは、責任者の明記が定められたことだ。化粧品のラベルに、問い合わせ先とともに製造者、輸入者、販売者といった責任者の情報を明確に記載することが規定された。またナノ化された成分を配合している場合、その内容がわかるように成分名を明記することも表示義務に新たに加わった。
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規制化の影響について、業界関係者は「これまで輸出先の国ごとに表示義務や承認手続きが違い、対応に時間とコストがかかっていた。しかしEU 全体で規定が統一されたことで、これまでよりもより迅速でスムーズなビジネスが可能になる」と語るなど、およそ肯定的な姿勢を示している。
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今後ECは14年までにナノ化成分の表示に関する規制を取りまとめ、成分に関するアニュアルレポートを作成する。さらに15年1月までに、内分泌かく乱物質(通称、環境ホルモン)に対する措置も定める。また、化粧品の動物実験全面廃止に向けた取り組みを進めるという。