東証スタンダード上場のヤマトインターナショナルの2023年8月期決算は、売上高が前期比7.2%増の208億円、営業利益は約2倍の3億円、経常利益は同8.2%減の5億8800万円、純利益は同24.6%増の5億6300万円だった。8月を除き既存店が前年を上回ったほか、LINEとアプリの2段構えのDXが奏功した。アプリは2022年4月にリニューアルを実施しており、会員数は前期末から18万人増の79万人へと大幅に増加した。
GMSへのコーナー数を含めた店舗数は、23年8月末で8店舗減の878店舗。粗利率は0.9ポイント悪化の57.5%だった。梅川実・取締役常務執行役は「採算を重視して店舗数のスクラップを進めた一方で、円安や原材料価格の高騰の影響を受けた」という。コスト増を受け、商品価格は平均して6%ほど上げたものの、「コスト削減などを進め、上昇幅を抑えられたため、客数などへの大きな影響は抑えられた」(梅川取締役)という。
24年8月期の見通しは、売上高が前期比5.8%増の220億円、営業利益が同15.6%増の3億5000万円、経常利益が同28.6%減の4億2000万円、純利益が同41.4%減の3億3000万円。期末の店舗数はGMS大手のイトーヨーカ堂の店舗閉鎖などを盛り込み、21店舗減の857店舗の見込み。イトーヨーカ堂はどの店舗を閉鎖するかなどは公表していないものの、「GMS店舗閉鎖の影響を多めに織り込んだ。引き続き不採算店舗からの撤退も進める」という。一方、この数年はNSC(近隣型ショッピングセンター)への直営店の出店にも力を入れており、3店舗の出店を計画する。857店舗のうち、直営店は16店舗に拡大する。
梅川取締役は「この数年はアプリのリリースに加え、VMDや販売員研修のDXを進めている。VMDは二週間に1度のペースで、東京本店内に売り場スペースを設け動画で全店舗の販売員に向けVMD情報を発信している。これまでに比べ、明らかに店頭のVMDは強くなっており、セット率の向上など、売り場効率の向上に繋がっている」という。円安による値上げ懸念により衣料市況にも不透明感が見られるが、「足元の売り上げはそれほど悪くない。少なくとも上期までは前年並みかそれ以上で推移すると見ている」。