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「サロパ」で来日続々 英発「ミラー ハリス」のトップに聞くニッチフレグランス市場

PROFILE: ジョン・グラハム / ミラー ハリス最高経営責任者(CEO)

ジョン・グラハム / ミラー ハリス最高経営責任者(CEO)
PROFILE: イギリス生まれ。35年にわたる小売業のキャリアを持ち、イギリス発フレグランス「モルトン ブラウン」「フローリス ロンドン」や紅茶「ウィッタード オブ チェルシー」などでブランドの海外展開に携わってきた。モルトン ブラウン ジャパンのCEOを務めた経験もあり、日本市場を熟知している。2019年から現職

英発フレグランス「ミラー ハリス(MILLER HARRIS)」のジョン・グラハム最高経営責任者(CEO)が来日した。伊勢丹新宿本店で開催されている「サロン ド パルファン 2023(SALON DE PARFUM 2023」で出展しているため、その視察はじめ、日本市場について知るのが目的だ。「ミラー ハリス」は調香師のリン・ハリスが2000年にロンドンで設立。ボタニカル(植物)にこだわりながらロンドンという町が持つダイバーシティーを反映した香りを提供している。来日したグラハムCEOに話を聞いた。

グラハムCEOは、「『ミラー ハリス』は、クラシックな香水にロンドンのコンテンポラリーなツイストを加えた若い感覚のフレグランスだ」と語る。アートやカルチャー、ファッションなどダイナミックなロンドンの多様性を表現すると同時に、コロナ禍で変わった“ラグジュアリー”の意識にも寄り添う香を提案。「コロナ禍で人々が、日常の小さなことに対して価値を感じるようになった。日々の生活に見られる小さな美しい瞬間を切り取り、ロンドンのツイストを加えて香りに落とし込んでいる」。

ベストセラーは、“スケルツォ”。F.スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)の小説「夜はやさし」の一節からインスパイアされたというユニークなストーリーが人気の理由。同CEOは、「香りはもちろんだが、その背後のストーリーが需要」と言う。来年には、フランス・パリや中国・上海など世界中の4つの都市に合う文学の一節が着想源のフレグランスを発売予定だ。日本のベストセラーは、“ティートニック”。茶畑やロンドンで楽しまれる香り高い紅茶を想起させるフレッシュな香りだ。

環境に優しいニッチフレグランスの入門ブランド

グラハムCEOは、「ニッチフレグランスの市場は飽和している。各ブランド、それぞれの顧客がいるから、競合だとは考えない。われわれは、ロンドンという町をはじめ、日々の美しい瞬間を独自のストーリーで伝えることが大切だと考える」と言う。ニッチフレグランスというと取っ付きにくい印象があるが「ミラー ハリス」は、親しみやすいブランドだと言う。「『ミラー ハリス』はできるだけ多くの人に身近なブランドでありたい。ニッチフレグランスに興味のある人にとっては、入門ブランドとしてぴったり。一度香りを嗅ぐとファンになる人が多い」。そのため、消費者とのコミュニケーションは分かりやすく、コミュニティーを作るように行っているという。

「ミラー ハリス」は、20年にわたり環境に配慮したブランドとして活動している。バラやオークなどを可能な限り廃棄を減らして使用したり、水を再利用したりしている。グラハムCEOは、「通常は廃棄される素材も再利用できないか実験を行っている。そうすることにより新たなクリエイションが生まれることもある」と話す。

路面店出店を視野に入れながらECも強化

日本市場における売上高は2022年、前年の2倍を記録した。コロナを機に、特に若い消費者によるニッチフレグランスの需要の高まりを象徴している。日本市場に関してグラハムCEOは、「ストーリーを理解してから購入する消費者が多いため、他の市場よりは時間がかかる。日本で成功すれば、世界で成功できると考える。親和性の高い顧客の元に商品を届けることが大切」と話す。現在、日本の販売拠点は24。海外では、コンセプトショップやホテルなど多岐にわたる販売拠点があるが、日本は百貨店が中心だ。そういう意味でも伸び代はまだまだある。これから、日本国内でもロンドンの“アーバン ネイチャー”をテーマにしたショップコンセプトを導入していくそうだ。「27年までに、全てのラインをそろえ、ブランドの世界観を伝えられるような路面店を出店したい」。また、ECの強化も図る予定だ。「イギリスでは、売上高の5割がECだ。デジタルマーケティングなどを通してディスカバリーセットを購入した2.5人に1人は、フルボトルを購入する。店舗とオンライン両方で顧客と繋がることが大切だ」。

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