資生堂は6月12日、自然科学分野の指導者を目指す女性研究者を支援する第8回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」の授賞式を資生堂花椿ホールで開催する。同社は、受賞者10人を選出し、各100万円の研究助成金を贈呈する。
「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」は、自然科学分野の指導者を目指す女性研究者を支援するのもの。日本国内の研究者に占める女性の割合は、14.4%に留まっており、諸外国(英:37.7%、米33.6%)に比べて大きく下回っている。特に助教、講師、准教授、教授と職位が上がるにつれ、女性の割合は低くなり、キャリアアップを目指す意思があるにも関わらず、断念する女性が多いのが現状だ。この背景には、女性が「出産、育児、介護」などのライフステージの影響を受けやすいことやロールモデルが少ないために将来像を描きにくいといった要因が挙げられる。
同社は、こうした状況を踏まえ、指導的立場を目指す意欲があり日本の科学技術発展への貢献が期待できる女性研究者支援を目的に2007年、「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を設立した。研究対象は「自然科学全般」としていて、助成金は試薬や機器の購入のみならず、出張時のベビーシッター代や研究補助員の雇用費など幅広く活用できるのが特徴だ。年齢制限は設けておらず、歴代受賞者69人のうち34人が、受賞後、昇格・栄転している。
今回の受賞者は、折紙の数理に基づいた収縮展開構造の形状最適化に関する研究をしている石田祥子・明治大学理工学部機械工学科助教や、細胞の3次元形状変化に対する機能解析のためのマイクロアクティブ折紙デバイスの開発をテーマにしている繁富香織・北海道大学大学院情報科学研究科、RHOAシグナル異常によるT細胞の悪性化獲得機序の解明をしている坂田麻実子・筑波大学医学医療系血液内科など。