アイスタイルが発表した2023年下半期の美容に関する傾向予測で「鼻(び)意識向上」というキーワードが挙がった。アイスタイルが上半期に行った「化粧品に関するアンケート」によると、アットコスメユーザーの10〜30代の37%が「マスクで隠れていた鼻が気になるようになった」と回答。また、直近半年間で、「鼻の黒ずみや毛穴が気になるようになった」と47.3%が答え、うち10代は 61.9%を占めていることからも、若い世代を中心に鼻への意識の変化が起きていることがうかがえる。セレクトショップやメーカーに「毛穴管理アイテム」の最新トレンドについて聞いた。
アットコスメで“鼻”関連のワードが多出
アイスタイルが展開する旗艦店のアットコスメトーキョーで「鼻意識向上」関連の好調アイテムは、「VT」の“シカレチAポアクリアスティック”(20g、2420円)、「シーエヌピーラボラトリー(CNP LABORATORY)』“鼻 バブルパック”(3枚入り、980円)、「アルビオン(ALBION)』“フラルネ シーバム コントロール エッセンス”【医薬部外品】(60mL、3850円/120mL、6600円)を挙げる。アットコスメトーキョースタッフのウトン光恵氏は、「いずれも比較的新しいアイテムだが販売数が伸長している」と話す。
6月に開催したトレンド予測を紹介するポップアップでは“鼻 バブルパック”も陳列し、想定以上の売れ行きで追加発注をした。また、インフルエンサーのやみちゃんがプロデュースする「ヤミーズトイ(YAMMY’S TOY)」“毛穴モップ”(990円)のポップアップを開催したところ人気を集め、予定より早く完売した」。
アットコスメの口コミでは、鼻に関連するワードの出現率が22年よりも増加しているという。西原羽衣子アットコスメリサーチプランナーは、「例えば、鼻根(びこん)、鼻あたり、鼻まわり、鼻付近 、鼻横、鼻頭といったワードが増えている。これらのワードは大きく2つに分類できる」と話す。
1つが「鼻根」「鼻頭」「鼻筋」など、細かなパーツに分けて表現しようとするもの。実際の口コミでは、「鼻根と鼻尖と人中溝にちょんと乗せると透明感が爆上がり」というような使われ方をしている。
もう1つが「鼻あたり」「鼻付近」「鼻横』など、周辺も含めた広い範囲を表現しようとするもの。例えば「鼻の横の赤みや口元、などに使用するにはかなり良い」などと言われており、鼻を中心にその周辺の肌への関心も高まっている様子が見られるという。「『ヤミーズトイ(YAMMY’S TOY)』の“毛穴モップ”(990円)は、鼻から頬の半ばまでいきわたる長めのシートデザインで、まさに今のニーズを汲んだ商品の代表格と言える」。
「バイユア」の“絶妙”スティックがヒット
“毛穴管理”を提唱する「バイユア(BYUR)」の“セラムフィット ボリューミング グロースティック”(2090円)がヒットしている。ツボクサエキスやシロキクラゲエキスなどの美容成分を配合し、ひと塗りで濡れたような艶をプラス。ハイライトや保湿ケアに使え、発売から累計約7万個を販売するベストセラーアイテムだ。「スキンケアに寄りすぎず、ハイライトにも寄りすぎない」と“絶妙”なポジショニングで支持を集める。
亀山彩菜「バイユア」PRディレクターは、「マスク着用が自由化される前と後で、使用されるシーンが変わった印象だ。マスク着用が推奨された時期は、マスクの擦れによる肌荒れを気にされている顧客が“セラムフィット ボリューミング グロースティック”で、毛穴ケアをしているというお声を多くいただいた。マスク着用が個人の判断になってからは、ベースメイクをツヤっぽく仕上げるのに使われている」と話す。3月以降は、SNSを中心に知名度が広がるとともに売り上げにつながっている。「朝のメイク時はもちろん、外出時も気軽に艶をオンできると好評だ」。
“クレンジングミルク”に毛穴ケアとセラミド補給の新処方を採用
「チャントアチャーム(CHANT A CHARM)」は、8月にスター製品“クレンジングミルク”をリニューアルした。新“チャントアチャーム クレンジングミルク”(130mL、3080円)は、メイク落とし機能に毛穴ケアとセラミド補給をかなえる処方を新たに採用。カワラナデシコ種子エキスとクレイ(ベントナイト)を配合し、毛穴に詰まった汚れを溶かし出し吸着する。人の肌に含まれるセラミド、ヒト型セラミドと同じ構造を含む植物性セラミドを配合。朝晩の使用で、キメの整ったみずみずしい肌に導く。「毛穴ケア」「セラミド補給」「メイク落とし」とマルチユースな点も支持を集めている。
小林製薬は斬新な「鼻専用のひたし洗い液」を提案
小林製薬は、“鼻専用ひたし洗い液”というこれまでにないアイテムを提案する。“ケアナボン”(300mL、1320円)は、2月から約2ヵ月、約100店舗でテスト販売を実施したところ、YouTubeやTikTokで話題を集めた。先行販売したECでは、一時欠品するほどの人気を博した。
片桐百恵 小林製薬 ビューティーケアマーケティンググループは、「事業の柱となる新ブランドを作ることが課題で、技術革新が起き、市場が活発化している皮膚洗浄の領域に着目して研究を進めていた。プロジェクトが動き出したのは、『行動観察アイデア合宿』がきっかけだ。風呂場で鼻だけをゴシゴシと洗っている男性を見て『毛穴はキレイになるが肌にはダメージが伴う。洗顔料などで念入りに洗う以外に何か方法はないのか?』と考えていたところ、研究担当と当時のマーケティング担当で『開発中の独自技術を搭載した液体洗浄料を鼻カップに入れてバシャバシャと洗ったら肌に負担をかけずキレイになるのでは?』と発案した」と話す。“ケアナボン”は、洗浄液でじっくりと角栓を浸してふやかしながら、「洗浄力」と「水流」で角栓汚れを徐々に落とすメカニズムだという。
“ケアナボン”は、pHが中性で、界面活性剤も最小限の濃度に留めたマイルドな設計だ。肌に負担をかけることなく、毎日ケアすることができる。山本航平 小林製薬 ビューティーケア研究開発グループは、「角栓詰まりなどに悩んでいる方であれば、1日1回30秒程度、浸し洗いを続けると約2週間程度で毛穴の変化を感じられるはずだ。使い続けることで角栓汚れの蓄積予防も期待できる」と説明する。