そごう・西武は25日、元プラダジャパン社長のダヴィデ・セシア(Davide Sesia)氏が11月1日付で取締役執行役員副社長に就く人事を発表した。大手百貨店の役員にラグジュアリーブランド出身の外国人が就任するのは異例。同社は基幹店の西武池袋本店にヨドバシカメラが入ることが決まったことを受け、多くのブランドとの交渉が佳境を迎えている。「プレステージブランドでの長い経験を円滑な交渉に生かす」(同社)狙いがある。
セシア氏は1967年、伊ミラノに生まれた。92年に来日後、数々のアパレルブランドの日本支社でマネジメントを経験し、ベネトンジャパンの取締役CFOを経て、2000年にプラダジャパンの社長に就任し、「ミュウミュウ」「チャーチ」を含む日本国内および海外の子会社を統括してきた。プラダジャパンの社長を22年に退任していた。
副社長就任を受けてセシア氏は「外国人として日本で30余年キャリアを積む中で培った幅広い経験と客観的視点をもって、これからの日本の社会変化や消費者ニーズに合致した百貨店として、同社を発展させていきたい」とコメントを出した。
西武池袋本店に入るヨドバシカメラは全体の半分を占める面積になると言われており、百貨店区画は大幅に減ることが避けられない。そごう・西武としては「ルイ・ヴィトン」「エルメス」「グッチ」といった稼ぎ頭であるラグジュアリーブランドを残したい意向だが、大型の家電量販店との併存を嫌い、ブランドが離れることが懸念されている。
そごう・西武は9月1日付でセブン&アイ・ホールディングスから米投資会社のフォートレス・インベストメント・グループに売却された。同日付でフォートレス日本法人の劉勁氏がそごう・西武の代表取締役、またフォートレス日本法人の代表である山下明男氏ら2人がそごう・西武の取締役に就いた。そごう・西武出身の田口広人社長は代表権のない社長になった。ブランドビジネスの経験が豊富で、ラグジュアリーブランドの人脈も持つセシア氏を経営陣に迎えることで、改装計画をスムーズに進めたい考えだ。