ここ数年で耳にすることが一気に増えた「フェムテック」。その話題性から参入するアパレルやビューティ企業は後を立たない。一方で、今年に入って新ブランドのローンチをはじめ企業発のフェムテック関連のニュースもやや落ち着いた印象だ。一度はブームにのったものの、進むべき方向性を見失ってしまった企業も多いのではないだろうか。
フェムテックをブームで終わらせずに、企業がビジネスとして成長・定着させるために必要なものは何か。日本・アジアにフェムテック市場を作り、定着させるために必要な企業のサポートや啓発活動、プロダクトの輸入をはじめ、フェムテックにまつわるありとあらゆる取り組みを行うフェルマータ(fermata)の近藤佳奈・最高執行責任者(COO)がフェムテック事業を着実に継続・成長させていくためのコツを全6回に渡って紐解く。初回は、ブームになってからの企業の取り組みと消費者のリアル、企業のフェムテックに取り組む姿勢の変化を分析する。次回は「吸水ショーツの先のニーズを考える」をお届け予定。
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近藤佳奈/フェルマータCOO
PROFILE:(こんどう・かな)神戸大学卒業。ピクシブで新規事業立ち上げ、企画営業、サービスディレクションを担当。2015年ディー・エヌ・エーに入社。動画配信サービス「ショールーム(SHOWROOM)」チームに所属し、ディー・エヌ・エーグループからのスピンオフを経て約4年半在籍し、マネージャーとしてビジネスとプロダクト開発を担当。19年12月フェルマータに参画し、事業戦略、マーケティング、営業などを統括する
「フェムテック」が世間で
認識され始めたのはジーユーの吸水ショーツから
そもそも「フェムテック」という言葉をみなさんが耳にすることが増えたのはいつからでしょうか。2021年春に「ジーユー(GU)」が1490円という非常に手に取りやすい価格で吸水ショーツを発売したことが1つのきっかけになったと考えています。雑誌やテレビなどメディアで取り上げられていた記憶がある方も多いのではないでしょうか。その後、半年〜1年半ほどのあいだに吸水ショーツを打ち出すアパレル企業が増加。その延長線上でフェムテックというワードが普及しました。それに伴い、デリケートゾーンケア商品を発売する化粧品メーカーも多かったように思います。
そもそもフェムテックとはFemale(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する商品(製品)やサービスのことですが、もともとはビジネス・投資業界のジェンダーギャップから生まれました。男性比率の高い投資家から、女性の健康課題を解決しようとするプロダクトに出資を募る際、当事者でない人にも分かりやすくするためにフェムテックというキャッチーな言葉をつけたのです。
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