TSIホールディングスは、環境課題解決への新たなソリューションとして注目される人工タンパク質素材、“ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)”繊維を展開するスパイバーと、同繊維を使用した製品生産の取り組みを開始する。ウィメンズウエアブランド「アドーア(ADORE)」で同素材を使用したアイテムを11月30日から販売、今後グループ内のブランドでも順次、同繊維を採用した製品を展開していく予定だ。
TSIホールディングスは、2050年にカーボンニュートラルを実現することを目指し、低環境負荷素材の使用を促進している。今回のプロジェクトでは、その活動の一環として2023年秋冬シーズンの製品に同繊維を使用する。同繊維は、カシミヤ繊維と比較して79パーセントのCO2排出量を低減し、99パーセントの土地と97パーセントの水の使用量削減を見込む。また、同繊維は環境分離性を有することから、石油由来製品によるマイクロプラスチックの海洋流出による環境課題解決への貢献も期待されている。
TSIホールディングスSDGs推進室長は次のようにコメントした。「動物性素材やプラスチック素材を使用しない最先端の素材を、当社のブランドの製品として販売できることは光栄です。今後も環境負荷低減や循環経済に寄与する商品を充実していけるように邁進してまいります」。
“ブリュード・プロテイン”繊維は、植物由来のバイオマスを原材料に使用した微生物の発酵プロセスにより生産されており、さまざまなアプリケーションへの活用が可能だ。シルクのような光沢と繊細さを持つフィラメント糸や上質でなめらかな肌触りのカシミヤ、嵩高性に優れたウールのような紡績糸にも加工することができる。
スパイバーは、2007年に創業した構造タンパク質“ブリュード・プロテイン”素材を開発する、山形県鶴岡市が拠点のバイオベンチャー。現在はタイ・ラヨン県で、同社初となる量産プラントで“ブリュード・プロテイン”ポリマーの生産を開始し、段階的に生産量を拡大していく予定だ。