百貨店主要5社の2023年10月度業績は、おしなべて約1割の増収だった。中国の大型連休である国慶節の影響もあり、訪日観光客の購買がさらに盛り上がりを見せた。月を通して好天に恵まれたことも客数増につながった。平年よりも高気温だったが、セーターやジャケットなどの秋冬衣料がよく動いたとの声が聞かれる。
各社の前年同月と比較した売上高は、三越伊勢丹が13.5%増、高島屋が11.4%増、大丸松坂屋百貨店が14.3%増、そごう・西武が1.8%減、阪急阪神百貨店が13.2%増だった。
三越伊勢丹は、全店の免税売上高合計が単月最高記録を更新した。「ラグジュアリーブランドのハンドバッグや宝飾・時計などへの関心が高い」(同社)。大丸松坂屋の大丸心斎橋店は免税売上高の押し上げ効果もあり、前年同月比43.8%と大きく伸ばした。ラグジュアリーブランド、化粧品が同約4割増とけん引した。高島屋の免税売上高も、コロナ前の18年同月との比較でも44.9%増だった。
三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店はラグジュアリーブランドなどを中心にセーターやジャケットなど秋物衣料が好調で、前年同月比11.8%増。阪急本店も婦人ファッションの売上高が同2ケタ増で、3カ月連続で過去最高月収を更新した。人気催事の「英国フェア」も過去最高売り上げとなった。
そごう・西武は5社で唯一の減収となった。婦人服が前年同月比10%減と足を引っ張ったことに加え、8月末でそごう千葉店の別館を、広島店の新館を閉鎖したことによる売り上げ減が響いた。千葉店の別館は24年にリニューアル開業を予定している。