ファッション
連載 エディターズレター:IN FASHION 第29回

バウムクーヘンに学ぶAIと職人の良好な関係

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※この記事は2023年11月07日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

バウムクーヘンで有名なユーハイムの河本英雄社長からパーティーの席で面白い話を聞きました。薄い層が重なってできているバウムクーヘンは、生地を付けた心棒を回転させながら焼き固めます。その技術は職人が長年磨いて到達するものであり、1919年の創業以来受け継がれる知識と技、長年培った勘が高品質の源だそうです。添加物を使用しないこともありその日の気温や生地の状態で仕上がりが変わるからです。

そのおいしさを「日本から遠く離れた国の子どもたちにも届けたい」と考えた河本社長は、職人仕事を学ぶAI搭載のオーブン「テオ」を5年かけて開発。職人が焼くバームクーヘンの焼き具合を薄い層ごとに解析してデータ化。そのデータをもとに、どこにいても同品質のバウムクーヘンを焼き上げることに成功しました。

熟練の職人たちからは当初、AI導入に対して反発があったそうですが、解析結果から自分の技術をさらに高めることができることを体験して、受け入れ。「教えることで自分が成長する」と言いますが、それがAI相手でも変わらないという話は感心します。「テオ」はその後、大きな話題を呼び、同社が提供する価値を体現する存在ともなっています。そしてなんと神戸市中央区は今年2月、「テオ」に特別住民票を発行したそうです。

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