ビューティ

絶好調の「ジルスチュアート ビューティ」 “コスメ界で一番かわいい”を具現化する商品企画

PROFILE: 足立悠希子/コーセー 戦略ブランド事業部 商品企画課 プロフィール

足立悠希子/コーセー 戦略ブランド事業部 商品企画課 プロフィール
PROFILE: (あだち・ゆきこ)2010年コーセー入社。「ジルスチュアートビューティ」の美容部員“ビューティスタイリスト”として店舗での接客をスタートした。ショップチーフとして店舗の運営を担当した後、メイクアップスペシャリストを経験。その後、商品企画課にてプロダクトプランナーとしてジルスチュアートビューティの商品企画を担当している。唯一無二の世界観と、“かわいい”をかなえる商品づくりに日々邁進中。

ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」の勢いが止まらない。2022年12月期の売り上げは国内で過去最高、今期も好調に推移している。X(旧ツイッター)では、新商品情報を解禁するたびに「ジルスチュアート」がトレンド入りするほどの人気ぶり。なぜ、こんなにも多くの人々の心を鷲掴みにできるのか。商品企画チームを束ねる足立悠希子プロダクトプランナーが、売れる商品を生み出す秘訣や今後の展望について語った。

約13年間「ジルスチュアート ビューティ」一筋

WWD:これまでの経歴は?商品企画になったきっかけは?

足立悠希子プロダクトプランナー(以下、足立):2010年に「ジルスチュアート ビューティ」の販売スタッフとして入社して以来、「ジルスチュアート ビューティ」一筋だ。メイクアップスペシャリストなども経験し、約10年ほど店舗に関わっていた。その後、商品企画に異動。本部に提出していた店舗の報告書が上長の目に止まり、企画に向いているんじゃないかと声をかけてもらった。

WWD:商品企画のチームについて知りたい。

足立:20〜30代の3人が所属。幅広い世代の「かわいい」が集まりアウトプットしているので、さまざまな年齢のお客さまに支持されているのかもしれない。私たちはバルク(化粧品の中身)を開発しており、パッケージデザインを担当するチームは他にいる。

WWD:商品企画において他ブランドと違う点はあるか。

足立:商品のアイディアを出す際、スタッフがお客さまに薦めるところまでを想像して商品を企画している。販売員の時代、実際に薦めにくい商品があったことも。スタッフが一番最初のお客さまだと考えるべき。企画チームで唯一販売スタッフを経験しているのは私だけなので、この経験を生かさねばいけない。

使命は“コスメ界で一番かわいい”を具現化すること

WWD:売れる商品を作り続けられるワケは。

足立:「ジルスチュアート ビューティ」の使命は、“コスメ界で一番かわいい”を具現化すること。もちろん、人それぞれ「かわいい」は違うだろうが、私たちはブランドデビュー当時から花、ジュエリー、ビンテージという、「ジルスチュアート ビューティ」といえばこれ、という軸をぶらさないようにしてきた。絶対的な変わらない「かわいい」を表現できているからこそ、長く支持いただけているのだと自負している。

WWD:フェミニンなかわいさよりも、「ジェンダーレス」や「シンプル」がもてはやされた時代もあった。

足立:2018〜19年頃は少し苦戦していた。当時は「ジルスチュアート ビューティ」も時代の流れに合わせて、少しパッケージをシンプルに。すると顧客さまからは「最近シンプルになった」「大人っぽくなった」と寂しがる声を多くいただいた。改めて「ジルスチュアート ビューティ」に求められているものを理解した良い機会になった。

WWD:常に意識していることがあれば教えてほしい。

足立:店頭にいた経験が長かったからかもしれないが、商品企画の上でも、それを手に取るお客さまの存在を忘れないようにしている。店頭のスタッフもお客さまと同じく20〜30代が多く、お客さまに負けないくらい「ジルスチュアート ビューティ」の「かわいい」が好きなスタッフが集まっている。商品企画ではスタッフが一番最初に手に取る“お客さま”と考えて意見を聞く場合もある。

最初に手に取るデパコスが「ジルスチュアート ビューティ」の商品という若いお客さまも多い。キャッチーなかわいらしさや使いやすさだけでなく、さまざまな商品を使ってきた美容好きな“コスメ玄人”にも満足いただけるよう、繊細なカラーや使い心地にこだわっている。

眉毛=ブラックorブラウンの既成概念を壊す

アイブロウパウダー
“ニュアンスブロウパレット”

WWD:思い⼊れのある商品を3つ教えてほしい。

足立:手前味噌だが、この商品はカラー眉のパイオニア的存在だと思う。眉メイクのカラーってブラックかブラウンの2択しかないのはなぜだろう、眉毛をかわいくするにはどうしたら良いのかと素朴な疑問からこの商品を思いついた。コロナが流行していた2022年、アイメイクが注目を集めていたタイミングで世に送り出せたので注目いただけた。ミラーが付いているスライドケースの利便性も、ヒットの要因と考える。

アイシャドウパレット
“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”

足立:アイシャドウパレット“ブルームクチュール アイズ ジュエルドブーケ”も思い入れがある。2022年に、花が持つピュアで華やかな部分のイノセントを表現したアイシャドウパレット“ブルームクチュール アイズ”を発売したが、その反対のセクシーな色香を表現したパレットを目指した。どこまでラメを大粒にできるか、5色の発色のバランスを試行錯誤した。

パウダーファンデーション
“グロウシフォン セラムフィルター”

足立:パウダーながらも肌に艶を生み出したい!と思ったのがきっかけで開発をスタートした。SNSで“お金で買える透明感”と呼ばれている人気の美容液化粧下地“セラムプライマー”と併用すると艶のある美しい肌に仕上がる。マットや厚塗り感というイメージのパウダーファンデーションを払拭したかった。商品名“グロウシフォン セラムフィルター”も、あえてファンデーションとつけていない。

パッケージだけでなく、品質も評価されるブランドへ

WWD:今後の展望や課題について。

足立:昨今、パッケージだけではなく品質の良さを見てくれるお客さまが多くなってきた。カラーコスメだけでなく、ファンデーションなどの機能性のあるコスメも評価されるようなブランドに育てたい。そのためには商品を触ってみたい、使ってみたいと思わせるような発信を心掛けていきたい。

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