PROFILE: ドリス・ヴァン・ノッテン
米「WWD」は10月24日、ファッション業界でクリエイティビティーを発揮しているデザイナーや、ブランドを率いるリーダーらの功績をたたえる“WWDオナーズ(WWD Honors)”の授賞式を開催した。今年、栄えある“デザイナー・オブ・ザ・イヤー”を受賞したのは、独自のスタイルと美学を持ち、35年以上にわたって第一線で活躍し続けている、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)。休日には自宅の庭で美しい花々を愛でながら思索にふけることも多いというドリスに、服作りへのこだわり、ソーシャルメディアとのつきあい方、庭仕事から学んだことなどについて聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月6日号からの抜粋です)
近年のファッション・ウイークといえば、ショーに来場する華やかなセレブリティーと、その姿を一目見ようと会場周辺に集まる大勢のファン、という構図がおなじみになった。ブランド側もそれを期待してセレブを招待したり、アンバサダーに起用したりするとはいえ、少々行き過ぎていると感じる向きもあるだろう。そうした傾向について、ドリスは最近のインタビューでこう語っている。「セレブリティーに関する騒ぎは、少し手に負えなくなってきているように思う。コレクションのレビューを読むと、作品そのものよりも、誰がフロントローに着席したのか、誰がランウエイを歩いたのかという内容に行数が割かれている。ファッションは、もっと大切に扱われるべきものだったはずだ」。
2023-24年秋冬コレクションのショーのテーマを、“服への愛”に定めたドリスらしい発言だ。自由なクリエイティビティーや職人の手仕事を大切にしつつ、ファッション業界を代表する独立ブランドとして独自のポジションを築いた「ドリス ヴァン ノッテン」。だからこそ、18年6月にスペインのラグジュアリーファッション・フレグランス企業プーチ(PUIG)の傘下に入った際には業界に衝撃が走った。「あのときは、これで『ドリス ヴァン ノッテン』もロゴを多用したり、新商品をソーシャルメディアで発表しては“ドロップ”したり、ほかのブランドとのコラボレーションを連発したりと、商業的になってしまうのではないかと言われた。確かに『ステューシー(STUSSY)』とは一度コラボをしたが、あれは商業的なマインドから生まれたものではなかったし、とても楽しかったよ」と振り返る。
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