アデランスは、医療用ウイッグが4月にJIS 規格制定(規格番号:JIS S 9623)されたことを受け、自社製品の適合調査を開始。7月2日、調査が終了し、「JIS S 9623」に自己適合したことを宣言した。自己適合宣言したのは、同社の医療用ウイッグ「ラフラ」「メディケアスワニー」「ビィラフラ」など20製品。それらは日本毛髪工業協同組合内に設置された「Med・ウイッグ認証部会」が実施した審査において、同規格に適合していることが認証され、「Med・ウイッグマーク」(日本毛髪工業協同組合が認証するJIS製品規格適合マーク)の使用が許諾された。
そもそも医療用ウイッグとは、主として抗がん剤投与及び放射線治療、重篤な円形脱毛症、先天性無毛症の患者に向けた、脆弱・敏感な頭皮に配慮したウイッグのこと。医療用ウイッグがJIS 規格制定された背景には、近年、インターネット販売など販売経路の多様化・複雑化が進む一方、中には粗悪品が流通する場合もあり、製品の品質についての基準がない状況が課題とされてきた背景がある。「JIS S 9623」では、皮膚に接触するネット部、インナーキャップなどの各部について、パッチテストの皮膚刺激指数が規定されている。また、粘膜障害や皮膚アレルギーを検査する「遊離ホルムアルデヒド」の試験方法なども規定されていて、適合した製品はその品質と安全性が保証される。
一方で、現在、医療用ウイッグは保険適用外となっていて、購入するために平均して数十万円の負担を強いられている。そのためJIS 規格制定されたことは、将来的な保険適用・医療費控除実現のための第一歩としても関心が寄せられている。
今回、アデランスのような大手メーカーが「JIS S 9623」への自己適合宣言を行ったことは、医療用ウイッグの安全性を示す「Med・ウイッグマーク」の認知度アップに貢献し、保険適用への取り組みを推し進めるものだ。