知っているようで知らない「ボクハタノシイ」について
街中で、“BOKU HA TANOSII”と書かれたTシャツを見たことがあるだろう。これは大阪・新世界を拠点とするクリエリティブユニット、ザモンゴリアンチョップスが手掛けるブランド「ボクハタノシイ(BOKU HA TANOSII)」の商品だ。
同ブランドは2015年にスタートした。Tシャツのほかスエットや帽子、サンダル、靴下、下着などをそろえる。
19年に俳優・歌手の菅田将暉とコラボし、ツアーグッズ(Tシャツとキャップを2種ずつ)を製作したことで一躍ブームに。
ほかにも「トーガ(TOGA)」「コンバース トウキョウ(CONVERSE TOKYO)」「ニコアンド(NIKO AND…)」と協業し、大阪・中津のセレクトショップ、イマジンとは「ボクモタノシイ(BOKU MO TANOSII)」「ボクラタノシイ(BOKU RA TANOSII)」の派生ブランドも作った。ウルトラマンや漫画「じゃりン子チエ」、スパイス調味料の“ほりにし”などとは異業種コラボも行った。
そんな知っているようで実はあんまり知らない……「ボクハタノシイ」について、デザイナー2人を直撃した。
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「“楽しい”を伝播する、それが『ボクタノ』の存在意義」
WWD:あらためて「ボクハタノシイ」の自己紹介からお願いしたい。
安藤仁彦「ボクハタノシイ」デザイナー(以下、安藤):“BOKU HA TANOSII”は、僕らの活動理念そのものを表しています。街を歩いていてTシャツや帽子の“BOKU HA TANOSII”の文字を誰かに読まれて、それがきっかけで会話が始まればいいなと。「ボクハタノシイ」を着ることでまずは自分が楽しくなり、その気持ちがまわりに波及していく。そんな願いを込めてデザインしています。
⼭本健太「ボクハタノシイ」デザイナー(以下、⼭本):服には常々“コミュニケーションツールであってほしい”と思っていて、ローマ字にしているのも世界中に“楽しい”が広まればと考えているから。こうして「WWDJAPAN」を連れてきてくれたのも、“BOKU HA TANOSII”の言霊力ですよね。
WWD:コラボも“楽しい”を広げるため?
2人:その通りです。
WWD:ザモンゴリアンチョップスは「ボクハタノシイ」以外に、メインブランドの「ザモンゴリアンチョップス(THE MONGOLIAN CHOPPSSS)」、バッグブランドの「コムスビ(COMUSUBI)」、釣りにフォーカスした「タスフ(TASF)」を運営している。「ボクハタノシイ」は、どんな位置付け?
安藤:「ザモンゴリアンチョップス」は当初、学ラン型のデニムジャケットやカブトムシのメスの裏側をプリントしたTシャツなど、“変な服”ばっかり作っていました。それらは僕らが本当にやりたいことだったし、今となっては定番になっているものもあるんですが、“売れていた”とは言い難く、それだけでは喰っていけなかった。それを支えたのが、「ボクハタノシイ」です。
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WWD:“飯の種”だった?
⼭本:そこまでは言わないですけど(笑)、例えばホンダはF1に参戦するけど、同時に軽自動車の“エヌ ボックス”も販売しますよね。ビジネスって両輪あって成立するのかなって。
WWD:絶好調に見えた20年末に、新世界の路面店を閉店している。
安藤:国内外から観光客が集まってにぎやかで、僕らのホームでもある新世界にコロナが大きな影を落としました。
⼭本:世の中に“楽しい”がなくなってしまった。
安藤:大自粛ムードの中で、“楽しいなんてけしからん!”という雰囲気に……。
⼭本:それと、おっしゃる通りコロナ直前は好調で、誤解を恐れずに言えば、何を作っても売れる感じで、作り手としては、いつしかそんな状況がつまらなくなってしまった……。
WWD:ダブルパンチだった?
安藤:燃え尽き症候群のような状態ですね。
⼭本:デザイナーとして“消耗してしまった”と言ってもいいかもしれません。
WWD:心の底からふざけているように見える2人だが、思いのほか真面目でセンシティブである?
⼭本:そうですね。
安藤:見た目とのギャップについては、よく言われます(笑)。
⼭本:実際、現在の商品数は過去いちで少ないです。
2024年、大阪・新世界に新たな路面店をオープン!
WWD:コロナショックを大いに受けてしまった「ボクハタノシイ」だが、復活の狼煙は?
安藤:上げます上げます(笑)。これはまだスタッフにも言っていないんですが、24年に新世界で新たな路面店のオープンを考えています。
⼭本:それに向けて、コラボも含め、商品ラインアップを拡充していけたらと。
WWD:やはり「ボクハタノシイ」は楽しくないと!
2人:ありがとうございます!「ボクハタノシイ」の第2幕にご期待ください。
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