海外からの入国制限がなくなった今、渋谷を象徴するファッションビルとして、
訪日外国人客が多く訪れるのが渋谷109だ。今春、3年ぶりに大型リニューアルを実施し、若者に人気のアーティストとのタイアップでも話題を振りまく。SHIBUYA109エンタテイメントの丸山康太SHIBUYA109渋谷店総支配人に聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2023年8月28日号付録ビジネスリポートからの抜粋です)
WWD:2023年上半期の商況は?
丸山康太SHIBUYA109渋谷店総支配人(以下、丸山):売上高は前年同期比38%増で、入館者数は同28%増。予算もクリアした。1月はセールを実施し、5人組ガールズグループLE SSERAFIM(ルセラフィム)とタイアップして、「エピヌ(EPINE)」との特別なポップアップを開催した。その流れで春のリニューアルで「エピヌ」を新規導入。2月下旬から五月雨式に18区画をリニューアルし、コロナ禍のリベンジ消費とお出掛け需要も相まって、4月は同40%増、5、6月は同25%増と非常に好調だった。3年ぶりのリニューアルで鮮度を出せたこと、インバウンド需要も大きかった。客単価、買い上げ率も向上した。
WWD:特に好調だったブランドは?
丸山:「エピヌ」「ダズリン(DAZZLIN)」「ヴォルカン&アフロダイティ(VOLCAN&APHRODITE)」といった新店またはリニューアル店舗が牽引している。「エピヌ」は店舗面積も広く、ブランドのファンだけでなく、店の世界観に引かれて入る新客も多い。「エピヌ」は世界観の作り方がうまいし、「ダズリン」は増床移転で2階のいい区画になったことに加えてVMDを高頻度で変えており、歌手の鈴木愛理とのコラボレーションなどもしっかりヒットした。「ヴォルカン&アフロダイティ」はユニセックスなアイテムもよく動いており、男性客も多い。地雷系などの渋谷っぽいアイテムをストリートに落とし込んでいて、サイズも大きいものがあるので、インバウンド客も取れている。増床してブランドのストーリーがうまく出せるようになったと思う。どこの店もSNSで情報収集して、目当ての商品めがけて試着をしに来るお客さまも多いので、特に新店やリニューアル店舗はフィッティングスペースを充実させる動きが目立つ。
インバウンド客に人気なのは「リズリサ(LIZ LISA)」や「シークレットハニー バイ ハニーバンチ」「エブリン(EVLIN)」など。日本独特な甘めのファッションが受けている。「リズリサ」の店長に外国人接客について聞くと、語学力が高いというわけではなく、物おじせずにノリでコミュニケーションを取っている様子。「リズリサ」に限らずだが、免税処理ができるツールを入れて、「5000円以上買うと免税できる」といったポップを作るなどの工夫をしている。
WWD:好調ショップに共通項はあるか?
丸山:今、言ったような免税対応ツールの導入や外国人接客のうまさ、まとめ買い促進がしっかりできていること、SNS上でのトレンド分析を常にしっかり行っていて、こまめにVMD調整をしながら感度と鮮度を保っていることなど。この春先だったら、リベンジ消費やお出掛け需要に対応したアクティブ要素の高いカジュアルな商品や、セットアップ、Y2K商品が高稼働していた。また、推し活、アーティストのライブのための参戦服需要を捉えているところも非常に調子がいい。加えて、SNSをうまく運営している点は変わらず重要だ。ただ商品紹介するのではなく、骨格や身長別の着こなしをTikTokで紹介したりするようなショップが好調だ。
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