若者マーケティング研究機関「シブヤ109ラボ(SHIBUYA109lab.)」は11月8日、毎年恒例の「トレンド大賞」を発表した。同機関の独自ネットワークである「シブヤ109ラボメイト(109SHIBUYA109 lab. MATE)」に所属する15〜24歳の510人の女性を対象に調査し、新設の「SNSコンテンツ部門」を含む8部門で、今年流行った人、物、コトを選び出した。
長田所長は今年の傾向のひとつとして体験を挙げ、「体験は写真映えだけでなく、没入感が重視された。陶芸体験で焼いたカップでコーヒーを飲むといった、つながりのある体験が人気だった」と話す。体験部門2位の“友達がやっているカフェ/バー”は店員が客の友達という設定で接客してくれるカフェで、お芝居の中に入り込んだような没入感のある体験が特徴だ。また体験部門1位のガチャガチャや、カフェ・グルメ部門5位のおにぎり専門店は購入するまでの過程も体験として楽しむことができる。
またアフターコロナの特徴として、夜に出歩く若者が増えたといい「今年は日中暑い日が多く、夜カフェやナイトプールがキーワードに上がった。気候次第では今後もナイトタイムエコノミーが注目されるのでは」と語った。
そのほか、目立ったトピックスをまとめて紹介する。
SNS部門1位の中学生YouTuberグループ・ちょんまげ小僧の「ひき肉ポーズ」
長田所長は「情報収集の最初の選択肢としてTikTokを開く若者が増えてきている。失敗したくないという気持ちの強い若者にとって、動画で360度確認できることもメリット」と説明する。
今回の受賞キーワードもTikTokで流行したものが多い。アーティスト部門は主にTikTokなどショート動画の挿入歌として多く使用されたアーティストがラインクイン。コンテンツ部門1位のアニメ「推しの子」もYOASOBIが歌う主題歌「アイドル」とともにSNSで拡散され、マイミは「アニメ本編は見たことがないが、TikTokで『アイドル』を踊る動画が流れてくるから曲は聞いたことがある」と話す。
SNSコンテンツ部門1位の撮影ポーズ「ひき肉ポーズ」を生み出した中学生YouTuberグループ・ちょんまげ小僧も、動画の切り抜きがTikTokで拡散された。「ひき肉ポーズ」はグループメンバー、ひき肉が挨拶の際に行うポーズをまねるもの。「ひき肉です」と言いながら両手を広げる仕草が真似しやすく、プリクラの撮影で取り入れる若者もいる。
またSNSコンテンツ部門2位の「なぁぜなぁぜ」はTikTokフォロワー12万人越えのキャバクラ嬢・桃園ありさが投稿した動画が元ネタ。疑問に感じていること、理不尽なことを可愛くネタにするフォーマットとして注目された。このように、真似しやすく、日常で取り入れられるフレーズや動作が人気を集める。
広く情報が拡散されるTikTokが人気を伸ばす一方で、クローズドSNSも台頭している。若者の中で流行したBeRealやBondee、NauNau、TapNowなどは、深く狭いコミュニティで楽しむことが特徴だ。
ファッションはY2Kが継続
今年も昨年に引き続きY2Kファッションが取り入れられた。アイテムではダボっとしたシルエットのカーゴパンツ、ヘッドホンなどが登場。カーゴパンツを履いて登場したチヅルは「大学にもバイトにも着て行きやすく、トレーナーを合わせたり、今日のような女性らしいニットを合わせたりしやすく愛用している」という。ヘッドホンはカーゴパンツとTシャツなど、シンプルなコーディネートのアクセントに出来る点や、K-POPアイドルが取り入れたことで真似する人が増えた。
また3位のパフィーサンダルはぷっくりとしたデザインが特徴の、ボリューム感のあるサンダル。履き心地の良さに加え、手頃な価格で手に入るためさまざまなカラーに挑戦しやすかったことも長所に挙げられた。
また今年は「水色界隈」「天使界隈」「海外ガール」など新たな世界観を持った“界隈”も登場した。
コスメはプレゼント需要でも人気
コスメ・スキンケア部門は昨年に引き続き、ヘアケアや目元メイクといった、コロナ禍で注目された目から上の部位に人気が集まった。
またグルメ部門1位の「10円パン」を代表にワンハンドフードの流行、グッズを手に持って記念撮影する推し活の影響などで手元を撮る機会が増え、ネイルも人気に。3位に入ったチークネイルのほか、ワンホンネイル(中国発のネイル)、マグネットネイル、落書きネイルなどデザインも幅広く登場。100円ショップや「スリーコインズ」で購入できることから、セルフネイルを始める若者も多い。
商品でラインクインしたのが2位の「リファハートブラシ」と「CANMAKE プティパレットアイズ」。「リファ(REFA)」のブラシはコンパクトで持ち運びやすいことや、友人へのプレゼントにおすすめの品としてSNSで拡散された。