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連載 エディターズレター:VIEWS ON WWD U.S. 第18回

「シュプリーム」買収は“焼石に水”だった?

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※この記事は2023年11月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

そもそもVFコーポレーション(VFC)は業績が下降していました。ストリート・ラグジュアリーとしてすっかりメジャーになった「シュプリーム(SUPREME)」買収で期待が高まり株価も上がりましたが、それも一瞬でした。売上高は拡大しましたが、コロナ禍が明けても業績は回復が見えず、赤字拡大。そうなってくると「シュプリーム」買収の費用3000億円超が重くのしかかってきているというわけです。前CEOは昨年12月に退任し、7月に新CEOが着任しました。

そしてこの度、“モノ言う株主”の登場です。「シュプリーム」買収について、「リスクマネジメントが崩壊したとしか思えない案件」とは、なかなか痛烈です。

でも、これのおかげで株価が14%増。すごいですね。「提言を実行すれば3年以内に株価は倍増する」とのことですが、別に経営陣刷新を受け入れたわけでもないのに……と思っていたら、アトモス創業者の本明秀文さんがちゃんと解説してくれました。これで株を売り抜く人もいるとは、勉強になります。

これと対照的だなと思うのが、「パタゴニア(PATAGONIA)」です。知っている方も多いと思いますが、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」と「パタゴニア」の創業者同士は親しい友人でした。この年表の序盤から両者の志がとても近かったことが分かります。

「ザ・ノース・フェイス」創業者は早々にブランドを売却し、個人での活動に邁進します。そして「ザ・ノース・フェイス」は今、VFC傘下。一方の「パタゴニア」は、企業としてビジネスを通して“新しい資本主義”のあり方を模索しています。

「ザ・ノース・フェイス」自体は好調ですが、「シュプリーム」は明らかに勢いを失ってきていますし、VFCは四半期ごとに業績を上げていかなければならない企業運営の艱難辛苦を体現しています。

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