ビューティ賢者が
最新の業界ニュースを斬る
ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、鏡の革新から始まる新しいサロンビジネスの話。
矢野貴久子「BeautyTech.jp」編集長 プロフィール
雑誌編集者を経て1999年からデジタルメディアに関わり2017年、アイスタイルで媒体開発に着手。18年2月に美容業界のイノベーションを扱うメディア「BeautyTech.jp」の編集長に就任
【賢者が選んだ注目ニュース】
消費者ニーズが多様化する中で、マス向け商品のヒットが出にくくなっている。とはいえどれだけニーズが多様化していても、まだ顕在化していないホワイトスペース、多くの消費者に共通するペインはある。I-neの「ヨル(YOLU)」のような睡眠中のヘアケアがいい例だろう。「ヨル」は定量データだけに頼らず、加えてマーケティングや商品開発以外の社員全員からあがってきたアイデアから絞り込んで生み出したものとしてよく知られている。データそのものは、過去のものであって未来を映し出してはいない。実際に生活する1人の人間として「ほしいな」「こういう商品があったらうれしいな」と思う直感のアイデアを、データも駆使して「新しい価値」として磨き込む手法が確立できているのが同社の強みだ。
この、実際に生活している1人の人間としての視点を企業としてどう持ち続けるかは非常に大事だ。特に決裁権のあるマネージメント層がその重要性を理解できていないと、ブランドを愛用してくれる消費者と長期的な関係を築くことは難しいことを痛感している。
もし、自分自身がターゲットである生活者の属性と離れているのであれば、まずはただ身を委ねてみる、もしくは現場を観察することからスタートして商品を磨き込むという手法がある。その好事例が、タカラベルモントが開発した理・美容サロン向けのスマートデバイスミラー「エシラ(ECILA)」だ。
理・美容室向けの設備・機器を得意とする同社はもともとスマートデバイスミラーではなく、理・美容室のスタッフの現場作業を軽減するための自動洗浄機といったツール開発を検討していた。現場をしっかり把握するため、担当者が施術チェアに座り、スタイリストの仕事について定点観測をはじめたのは2019年。そこですぐに気づいたのが、顧客とスタイリストのコミュニケーション・ギャップだったという。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。