中国の「独身の日(シングルデー)」に合わせ、EC企業各社は今年も11月11日まで大規模なセールを行なった。企業によって日程に多少の違いはあるものの、おおよそ2週間以上にわたって開催され、中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)や同2位のJDドットコム(JD.COM)は「商品取扱高(GMV)や注文数は前年を上回った」と発表。両社とも2022年から「独身の日」に関する詳細な実績の公表を取りやめているが、中国の調査会社、星図数据(SYNTUN)によれば、主要EC企業によるGMVは前年比2.0%増の1兆1386億人民元(約23兆9106億円)にとどまった。また、10〜11日の売り上げは前年同期比9.7%減の2776億人民元(約6兆6624億円)だったという。
同社の調査によれば、アリババが運営するEC「Tモール(T MALL)」が売り上げ全体のおよそ60.0%を占め、JDドットコムは27.8%、同3位のEC企業ピンデュオデュオ(拼多多、PINDUODUO)は7.3%、その他のプラットフォームは4.7%だった。
中国経済の回復の遅れを背景に、全般的に節約志向が高まっていることを踏まえ、各社とも例年よりさらに“お得感”を強調する戦略を取っている。アリババは、300人民元(約6300円)分の商品を購入するごとに50人民元(約1050円)の値引きを行なったほか、「Tモール」上で「プラダ(PRADA)」や「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のシューズが時間限定で30~50%オフになるフラッシュセールなどを実施。また、競合のJDドットコムやピンデュオデュオ、中国版ティックトックのドウイン(Douyin、抖音)のECとリアルタイムで価格を比較して最安値で商品を提供する、AIを駆使した価格分析機能を試験的に導入した。「Tモール」によれば、同機能によって約400ブランドがGMVで1億人民元(約21億円)を突破し、約3万8000ブランドが昨年のおよそ2倍のGMVとなったという。JDドットコムは、自社による初のライブ配信プログラムなどで安値をアピールした。
米大手コンサルティング会社ベイン&カンパニー(BAIN & COMPANY)が中国の消費者3000人以上を対象に調査し、11月初旬に発表したリポートによれば、回答者の77%が「『独身の日』セールに昨年と同額もしくはより少ない金額を使う」とし、71%は「2023年中は買い物での支出を昨年と同額程度もしくはより少なく抑える」と答えている。