モデルで実業家のカーリー・クロス(Karlie Kloss)は、新会社ベッドフォード・メディア(BEDFORD MEDIA)を設立し、同社を通じて英国のファッション・カルチャー誌「i-D」を買収することを発表した。取引額は非公開。取引の成立後、クロスは「i-D」の最高経営責任者に就任。2019年からグローバル編集長を務めるアラステア・マッキム(Alastair McKimm)は、チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)兼グローバル編集長に就任する。
「i-D」は、英「ヴォーグ(VOGUE)」のアート・ディレクターを務めていたテリー・ジョーンズ(Terry Jones)が1980年に創刊。パンク全盛期のロンドンのストリートファッションやカルチャーを取り扱い、カルト的な人気を博した。2012年にヴァイス・メディア・グループ(VICE MEDIA GROUP)の傘下となったが、同社は経営不振のため、今年5月に日本の民事再生法に相当する米国連邦破産法第11章を申請。6月には、投資会社から成る債権団によって3億5000万ドル(約528億円)で買収された。
クロスはトップモデルとして活躍すると同時に、実業家の顔も持つ。15年には、性別による経済格差の是正に取り組むべく、13〜18歳の女性(ノンバイナリーやジェンダークィアを含む)に無料でコーディングを教えるサマーキャンプを運営する非営利団体コード・ウィズ・クロッシー(KODE WITH KLOSSY)を設立。また、テック系のスタートアップなどに投資しているほか、20年には投資家のコンソーシアムを率いて米国のファッション誌「Wマガジン(W MAGAZINE)」を買収している。