ブラジルの化粧品会社ナチュラ&コー(NATURA & CO)は、イギリス発の自然派化粧品ブランド「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」を欧州プライベート・エクイティ投資大手のアウレリウス・グループ(AURELIUS GROUP、以下アウレリウス)に2億700万ポンド(約389億円)で売却することを明らかにした。取引は年末までに完了する予定。
ナチュラ&コーによると、今回の売却は事業の合理化と簡素化の一環で行うもの。同社は「イソップ(AESOP)」をロレアル(L’OREAL)に売却した後、戦略的優先事項、特に中南米における「ナチュラ(NATURA)」と「エイボン(AVON)」の統合に集中するため事業の簡素化を進めてきた。イアン・ビックリー(Ian Bickly) 最高経営責任者(CEO)は、「『ザボディショップ』はアウレリウスと手を組み、新たな章をスタートさせるという歴史的な瞬間を迎えた。80カ国以上で展開する『ザボディショップ』はビューティブランドであると同時に、世界のほぼ全ての地域で人々の心を捉えてきた象徴的なソーシャル・ビジネスでもある。ナチュラ&コーの揺るぎない支援に感謝するともに、アウレリウスと手を組み、持続可能で収益性の高い成長を念頭に置きながら新たなグローバル小売り環境に適応し繁栄していくことを楽しみにしている」とコメントした。
この動きは、4月にザボディショップインターナショナル(THE BODY SHOP INTERNATIONAL)のCEOを5年半務めたデイビッド・ボイントン(David Boynton)が突然退任してからわずか数カ月後に起きた。ボイントン前CEOは、ナチュラ&コーが「ザボディショップ」をロレアルから買収した2017年からCEOを務めていた。ボイントン氏の後任にはイアン・ビックリー氏が暫定のCEOとして就任し、現在の事業計画と変革の構想を洗練させ、黒字化に向けて加速することを命じられていた。
アウレリウスのパートナーであるトリスタン・ナグラー(Tristan Nagler)は、「ビューティ・ウエルネス市場においてクルエルティフリー(動物実験を行わない)および自然由来成分ムーブメントのパイオニアであり、英国を代表するブランドの買収を引き受けられることをうれしく思う。われわれはビックリーCEOと彼のチームと協力して経営改善を推進し、事業を再活性化する。次の成功を手助けすることを楽しみにしている」と述べた。
「ザボディショップ」は、1976年にアニータ・ロディック(Anita Roddick)が英ブライトンの小さな店舗で創業。ビジョンの中心には、ビジネスに対する倫理的なアプローチがあった。動物実験を行わず、農家やサプライヤーとの公平な仕事に努めるなどのビジネスアプローチを貫くことで、企業の社会的責任におけるパイオニアとなっている。