LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が主催する若手ファッションデザイナー支援のためのコンテスト「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」はこのほど、2024年度版の募集を開始した。今回からグランプリとカール・ラガーフェルド審査員特別賞に加えて、クラフツマンシップを称え、技術の継承を促進することを目的としたサヴォアフェール賞を新設。いずれの賞も、書類選考、2024年2月29日と3月1日にパリで開かれるセミファイナルを経て最終選考に残ったデザイナーの中から選ばれる。
応募は「LVMHプライズ」の公式サイトで受け付けており、締め切りは24年1月7日。対象は18歳から40歳までの世界中のファッションデザイナーで、すでにウィメンズウエア、メンズウエアまたはジェンダーレスのプレタポルテコレクションを2つ以上制作していることが条件となる。グランプリには賞金40万ユーロ(約6440万円)に加え、持続可能な開発やコミュニケーション、著作権、企業法務、マーケティング、製造、ブランドの財務管理などの分野において同グループのエキスパートから1年間の指導を受ける権利が授与される。また、カール・ラガーフェルド審査員特別賞とサヴォアフェール賞の受賞者には、賞金20万ユーロ(約3220万円)と、同グループのエキスパートから1年間の指導を受ける権利が贈られる。
13年に同プライズの立ち上げたデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=クリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)会長兼最高経営責任者は、「『LVMHプライズ』は今年で11回目を迎える。そして、クリエイションの核となる価値であるサヴォアフェールへのこだわりを称えられることをうれしく思う。サヴォアフェール賞は、卓越したクラフツマンシップ、デザインと生産における革新性、そしてファッションに対するよりサステナブルなアプローチを称えるもの」と述べた。LVMHは25年、パリ8区にクラフツマンシップに特化した施設メゾン・デ・メティエ・デクセレンス(Maison des Métiers d’Excellence)のオープンを計画するなど、職人技の継承と発信に力を入れている。同施設では、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」から「ドン・ペリニヨン(DOM PERIGNON)」「ティファニー(TIFFANY)」「セフォラ(SEPHORA)」まで傘下75ブランドで用いられる280の熟練した職人技の幅広さに一般来場者が触れられるだけでなく、職人の訓練プログラムの場としても活用されるという。
また、「LVMHプライズ」ではこれまで同様、「LVMHプライズ フォー ヤング ファッション グラジュエイツ(LVMH PRIZE FOR YOUNG FASHION GRADUATES)」としてファッション・スクールの卒業生3人も選出する。それぞれの受賞者は、1万ユーロ(約161万円)を獲得するほか、「ルイ・ヴィトン」「ディオール(DIOR)」「セリーヌ(CELINE)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「フェンディ(FENDI)」「ロエベ(LOEWE)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」などLVMH傘下のメゾンのデザインスタジオで1年間働くことができる。同賞の応募締め切りは、24年3月17日。