今回の「DXアワード」では、①サステナビリティ&ESG ②幸福度/CX ③既存の技術アップデート/イノベーション ④産業全体のグッドウィルの後押し/バリューチェーン―という4つの指針を掲げた。ファッション&ビューティ産業の健全かつ持続可能な成長のためには、この4つが重要だと確信している。新しいテクノロジーやサービス、テック企業の存在が、新しいファッション&ビューティ産業の未来の姿を描き出すと信じている。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月20日号からの抜粋です)
テック×サステナビリティが
産業の「グッドウィル」を後押しする
サステナビリティ賞を受賞したのは、バーチャルメイクの「ユーカムメイク(YouCam メイク)」を手掛けるパーフェクト(PERFECT)。台湾で2015年に設立。現在はニューヨーク証券取引所に上場し、世界80カ国で600以上のブランドが導入するなど、コスメ業界ではよく知られた存在だ。AI(人工知能)とAR(仮想現実)の2つのキーテクノロジーを駆使して、バーチャルメイクという新機軸を切り開いた同社が、なぜサステナビリティなのか。審査員の一人である遠藤友己LVMHデジタル ディレクターは「世界でも先頭を走る日本のヘアカラー業界の底上げにつながった」点を評価する。「ユーカムメイク」の普及は、同社によるとそれまで当たり前だった店頭でのヘアカラー製品のテスターの撤廃や返品率の低下につながり、100t近いプラスチックごみの削減に貢献したという。AIとARに支えられたバーチャルのためのテクノロジーが、フィジカルな世界に影響を与え、産業全体の持続可能な成長に寄与した点が高く評価された。
サステナビリティというと、再生繊維の利用やサプライチェーンにおける無理・無駄の削減に目が向けられがちだが、シンフラックス(Synflux)の川崎和也CEOはDXという文脈では「産業や商流の抱える本質的な課題へのアプローチが求められている」と指摘する(下記参照)。
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