今回の「DXアワード」では、①サステナビリティ&ESG ②幸福度/CX ③既存の技術アップデート/イノベーション ④産業全体のグッドウィルの後押し/バリューチェーン―という4つの指針を掲げた。ファッション&ビューティ産業の健全かつ持続可能な成長のためには、この4つが重要だと確信している。新しいテクノロジーやサービス、テック企業の存在が、新しいファッション&ビューティ産業の未来の姿を描き出すと信じている。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月20日号からの抜粋です)
顧客体験の価値向上が
社会全体をハッピーに変えていく
カスタマーエクスペリエンス(以下、CX)賞を受賞したのは、販売員のDXサービスとして今や不動の地位を得ているバニッシュ・スタンダード(VANISH STANDARD)の「スタッフスタート(STAFF START)」だった。「スタッフスタート」のサービス開始は2016年9月。すでにSNSのインスタグラムの普及も進んでいたが、同社は「スタッフスタート」が、オンライン接客による実績の可視化や、評価の文化を醸成したと強調する。「スタッフスタート」は、販売員が投稿したコーディネートスナップ経由の売り上げを「流通額」として計上する仕組みを取っており、その年間流通額は1748億円に達している。
「スタッフスタート」の普及は、販売員のあり方を大きく変えた。これまで店舗も販売員も立地が重要とされ、スター販売員、あるいはカリスマ販売員は新宿や渋谷などの大都市の店舗に配属されていた。だが、「スタッフスタート」やインスタグラムにより、都心に限らず、郊外の大型ショッピングモールも含めた全国の店舗でスター販売員が生まれるようになった。その象徴が、同社が主催する接客コンテスト「スタッフ・オブ・ザ・イヤー」の初回で、参加した全国7万人の販売員の頂点に立った村岡美里さんだ(こちらを参照)。福岡・博多のファッションビルであるソラリアプラザの「リエンダ(RIENDA)」の販売員で、デジタル時代の新しいカリスマ販売員のあり方を印象づけた。
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