「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(VANS)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「シュプリーム(SUPREME)」などを擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION)で、人事刷新が続いている。
10月30日には、主力である「ヴァンズ」のケヴィン・ベイリー(Kevin Bailey)=グローバル・ブランド・プレジデントが退任を発表。今後はVFCのエグゼクティブ・リーダーシップ・チームの一員として、「ヴァンズ」の立て直しや各ブランドの北米事業の強化、全社的な経費削減などを主軸とした事業改革プロジェクト“リインベント(Reinvent)”を率いる。後任は未定で、当面はブラッケン・ダレル(Bracken Darrell)VFC社長兼最高経営責任者(CEO)が「ヴァンズ」のトップの役割も担うという。
11月8日には、「ティンバーランド」のスージー・マルダー(Susie Mulder)=グローバル・ブランド・プレジデントが退任することが明らかに。同氏は2021年4月に現職として入社した。後任は未定で、当面はニナ・フラッド(Nina Flood)=ティンバーランドEMEA(欧州・中東・アフリカ)事業バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャーが暫定的に同ブランドを率いる。
VFCは伸び悩みが続いており、23年7~9月期(第2四半期)決算の売上高は前年同期比1.5%減の30億3420万ドル(約4520億円)だった。営業損益は前年同期の9081万ドル(約135億円)の赤字から3億6292万ドル(約540億円)の黒字となったものの、純損失は1億1843万ドル(約176億円)から4億5069万ドル(約671億円)に拡大している。
ブランド別に見ると、「ヴァンズ」の売上高は同21.4%減の7億4880万ドル(約1115億円)と引き続き苦戦し、「ティンバーランド」も同6.8%減の4億8860万ドル(約728億円)と減収だった。一方、好調な「ザ・ノース・フェイス」は同18.7%増の11億2880万ドル(約1681億円)と大幅に業績を伸ばし、「ヴァンズ」の売り上げを超える結果となった。
10月20日には、“物言う株主”として知られる米投資会社エンゲージド・キャピタル(ENGAGED CAPITAL)がVFCの株式を取得し、傘下ブランドの戦略的見直しなどを要求したと海外メディアが報じた。同社はVFCが20年11月に21億ドル(約3129億円)で買収した「シュプリーム」について「リスクマネジメントが崩壊したとしか思えない案件」と評し、「ヴァンズ」と「ザ・ノース・フェイス」以外の傘下ブランドの見直しに加えて、3億ドル(約447億円)以上の経費削減、「ヴァンズ」と「ザ・ノース・フェイス」に対するテコ入れ策として1億ドル(約149億円)程度の投資、経営陣の刷新などを提言したという。一連の報道を受けて、VFCは、「エンゲージド・キャピタルが当社の株主となったことや、その発言について認識している。ダレル社長兼CEOをはじめとする取締役会と経営陣は、全ての株主の利益のため、VFCのポジションを強化し、力強く持続的に成長する収益性の高い企業へと復活させるべく、直ちに断固たるアクションを取っていく」と声明を発表している。