PROFILE: ジョナサン・アンダーソン「ロエベ」クリエイティブ・ディレクター
PROFILE: ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション修了後、2008年に「J.W. アンダーソン(後にJWアンダーソンに改称)」を設立してメンズコレクションを発表。10年にはウィメンズもスタートした。13年に「ロエベ」のクリエイティブ・ディレクターに就任。2年後のブリティッシュ ファッション アワードでは、「メンズウエア・オブ・ザ・イヤー」と「ウィメンズウエア・オブ・ザ・イヤー」のダブル受賞を果たした。18年にはロエベの取締役に就任している。アートとクラフトの熱心な支援者で16年には現代工芸初の国際賞となるロエベ財団 クラフトプライズを立ち上げ、17年にはイギリスのヘップワース・ウェイクフィールドで開いた「Disobedient Bodies」展をキュレーションした
「ロエベ(LOEWE)」は11月11日、表参道店を拡張リューアルして「カサロエベ表参道」をオープンした。フラッグシップストアをギンザ シックスに移した「ジバンシィ(GIVENCHY)」の跡地を加えた同店舗は、3層構造で466㎡と国内最大。1階は、レザーバッグとアクセサリーが中心だ。2階はメンズとウィメンズのプレタポルテ。そしてホームグッズとフレグランスを販売する地下1階には、阪急うめだ本店に次ぐ国内2つ目の「ロエベ リクラフト」を併設して、バッグなどの修理も受け付ける。来日したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターに新旗艦店に込めた思いを聞いた。
WWDJAPAN(以下、WWD):率直にとても楽しい旗艦店が完成した。来店客にどんな体験をしてほしいと願ってコンセプトを固めたのか?
ジョナサン・アンダーソン「ロエベ」クリエイティブ・ディレクター(以下、ジョナサン):これだけの規模感の店舗でパーソナルな共感を誘うには、自分の信念や信じている世界を盛り込むことが必要。今回はステレオタイプとは全く異なる、さまざまなアートがにぎにぎしく同居するカラフルな世界を思い描いた。この店を訪れる人は、たとえ何も買わなくてもワクワクできるし、楽しい気分で表参道に戻ることができる。もちろん、何か買いたければラグジュアリーなウエアやバッグから、手に入れやすいキャンドルやフレグランスまでそろっている。そんなパーソナルな体験を提供できる店舗こそ、ラグジュアリーブランドが構えるべきものだ。一方、常に大事にしているのは、街と自然につながっていること。僕は、「カサロエベ表参道」のような角地の店舗が好き。特に2つのエントランスを設けることができたら最高だ。理由は、その方が店と街がなじむから。今回スペインで焼いたタイルは、まるで鏡のよう。表参道の四季を魅惑的に映し出すだろう。
WWD:店舗を自然な形で融合させたいと願う、表参道というエリアをどう捉えている?
ジョナサン:東京は、世界有数のにぎやかな街。でも表参道は幅広い道にケヤキ並木が続き、温かみがあって、ピースフルなムードも漂わせている。相反するムードが同居していて、魅力的だ。そしてパリやロンドンは建物を大事に守り続けているが、東京は関東大震災、太平洋戦争、そして戦後もスクラップ&ビルドを繰り返している。古きを壊し新しきを構える大胆さもまた、相反するムードの同居に一役買っているのだろう。正反対のものがバランスを取りながら同居するユニークさは、「ロエベ」が長らく守り続けているものでもある。
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