毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月20日号からの抜粋です)
横山:初開催の「WWDJAPAN DXアワード」受賞企業を特集しました。DX(デジタルトランスフォーメーション)といえば、テクノロジーに引っ張られがちでしたが、賞を主催するにあたり、評価軸を「産業への貢献」「サステナビリティ&ESG」「幸福度」「アップデート」の4つに絞りました。「幸福度?」という人もいましたが、ファッション&ビューティ産業の特徴ともいえる視点になりました。
村上:そうですね。「幸福度」でファッションやビューティならではの高揚感をどれだけ忘れずに開発しているかをたたえたいと考えました。たとえばオルビスは、ロボットを導入してECで注文を受けた商品のピックアップから梱包、発送までの物流をほぼ全自動にしましたが、箱に物を詰めるところは人の手で丁寧に包みます。あえてDXしなかったんです。しかも、その小さいロボットを愛でてメイクしてみようとか名前を考えてみようとか。機械化やデジタル化の推進では、効率化や生産性の向上だけにフォーカスしてしまいがちですが、ファッションやビューティには高揚感や情緒的な部分も大事。そんな姿勢に共感して小林琢磨社長には審査員に加わっていただきました。
横山:「幸福度」は、顧客満足や顧客体験価値の向上。それがひとりひとりのQOLを上げ、ひいては社会全体の幸福度につながっていく。ファッションとビューティ産業の重要な価値観であり、それがこの2つの産業をとてもユニークなものにしていると思います。グランプリは消費者がファッションを楽しむためのサービスを提供するスタートアップ企業で、オンラインクローゼットアプリ「XZ(クローゼット)」を展開するスタンディング・オベーションが全員一致で決まりました。そこでも「幸福度」が大きな勝因になりましたね。 評価したポイントは、他の受賞企業も含めて、特集で余すところなく紹介しています。12月18日には授賞式と記念セッション、そしてパーティーを行います。受賞企業による生の声を読者の皆さんにもぜひ聞いてほしいです。
村上:エントリーしてくださった企業の方々は皆、プレゼンも上手で、熱い想いとこれまでの積み重ねや努力を感じました。初開催でしたが、審査員の皆さんと一緒に産業全体を後押しするアワードにしていきたいです。