中国・海南島が新たな「買い物天国」として急浮上している……2021年ごろに大きな話題となったトピックだ。その後、中国では新型コロナウイルスの感染が拡大し中国国内旅行が落ち込んだため話題に上がることは少なくなったが、コロナ後の「新たな買い物天国」の現状をリポートする。
約29万㎡クラスの超ド級の世界最大「免税モール」も 海南島が「免税天国」になったワケ
中国最南部の省、海南省。その大部分を占める海南島はトンキン湾越しにベトナムと向かい合う位置にある。面積は3万3000平方kmほど。九州を一回り小ぶりにしたぐらいの大きさだ。かなりでかい。
中国政府は2010年、「海南島国際観光島」計画を打ち出し、一部の国・地域を対象としたビザの免除や免税政策を導入してきた。ちなみに日本・沖縄、韓国・済州島、台湾・澎湖諸島に続く世界で4番目に成立した離島免税制度だという。
とはいえ、当初は免税対象となる品目や限度額が厳しく制限されたため、たいした注目は集めなかった。「買い物天国」としての期待が一気に高まったのが2020年のこと。中国政府が発表した「海南自由貿易港建設プラン」によって、免税限度額が従来の一人当たり年3万元(約60万円)から10万元(約200万円)へと一気に拡大されたほか、携帯電話などの電子機器など免税対象商品のジャンルも拡大した。ユニークなのが免税EC(電子商取引)だ。海南島を訪問すると、その後180日以内は免税ネットショップが活用できる。旅行時に購入しなくとも、後から免税ショッピングも楽しめるようになるというわけだ。
新政策が適用されたのは下半期からだったが、2020年の免税販売額は前年からほぼ倍増の274億8000万元(約550億円)を記録した。2021年にはさらに80%増の494億7000万元(約9890億円)と高成長が続いた。
コロナ禍にもかかわらず、巨大な免税モールが次々とオープンし、新規建設計画の発表も続く。現在オープンしているのは11モールで、海口市に5モール、三亜市に4モール、万寧市と琼海市に1モールずつである。昨年12月にオープンしたばかりのモール「CDF海口国際免税城」は総面積28万9000㎡で、世界最大の免税店だという。
景気のいい話が続くが、「買い物天国」にはまだ先がある。実は2025年末までに「全島封関」が予定されている。これは海南島全体が免税区域となることを意味する。免税モールに限らず、島内のどこでも関税がかかっていない外国商品を購入できるようになる。今年10月には「ルイ・ヴィトン」が旗艦店をオープンしたが、現在は免税対象ではない。「全島封関」後をにらんでの布陣だと考えられている。つまり海南島は、ビザ免除の対象国拡大とあわせて、第二の香港を目指しているのだ。
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