パリの競売会社モーリス・オークション(MAURICE AUCTION)は11月20日、レバノン出身の実業家ムウナ・アユーブ(Mouna Ayoub)が保有する「シャネル(CHANEL)」のオートクチュールアイテム252点のオークションを開催した。いずれもカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が1990年代~2014年にデザインしたものだ。
オークションでは全品に買い手が付き、落札額の合計はおよそ150万ユーロ(約2億4450万円)。中でも、創業者のガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が大切にしていたコロマンデル屏風に似た刺しゅうを施したイブニングコートは31万2000ユーロ(約5000万円)で落札され、予想落札価格の15万~20万ユーロ(約2400万~3260万円)を大幅に上回る結果となった。
コレクションを手放す理由は「2つある」とアユーブは説明。「一つはもう私には似合わないからだ。二点目はカールを知らず、彼のオートクチュール作品を所有するチャンスがなかった若い世代に、私と同じように所有し、着用し、愛してもらいたいからだ」。多くのアイテムは袖を通していない新品だという。
アユーブは1990年にカールがデザインした「シャネル」のオートクチュールを「ヴォーグ(VOUGE)」で目にして以来、オートクチュールのアイテムをオーダーし続けていると話す。今回250点以上を手放してもまだ約2500点のアイテムを所有しており、「シャネル」のほかに「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」「フェンディ(FENDI)」「ディオール(DIOR)」などのものがあるという。
アユーブはオークションの売却益の一部を、女性の権利と自由の獲得を支援し、女性に対する暴力と闘う団体であるフォンダシオン・デ・ファム(Fondation des Femmes)に寄付する予定だという。