ドラッグストアで1500円前後の高価格帯シャンプーが軒並み売れている。トモズではヘアケア全体の6割以上を占め、客単価はここ5年の間で2倍まで上昇。スギ薬局では2020年以降、プレミアムヘアケアの売り上げが右肩上がりで成長を続ける。その理由は、「『ボタニスト(BOTANIST)』がプレミアムヘアケア市場を切り開き、ヘアケア市場の構造を大きく変えた」と今回取材した各社も口をそろえる。15年に誕生した「ボタニスト」(I-ne)がヒットしたことで、プレミアムヘアケアに商機を見いだしたベンチャー企業が追随してブランドを立ち上げた。18年に「アンドハニー(&HONEY)」(ヴィークレア)、19年に「エイトザタラソ(8 THE THALASSO)」(ステラシード)、21年に「ウルリス(ULULIS)」(H2O)と「ヨル(YOLU)」(I-ne)が次々と誕生。いずれもシャンプー本体は“ボタニスト価格”と言われる1540円と横並びであるが、売れ筋上位に名を連ね、ドラッグストアのゴールデンゾーン(商品を手に取りやすい場所)に鎮座する。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月27日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋です)
プレミアムヘアケアに商機
ヘアケア市場のシェアを大きく変えた新興ブランドの共通点は“情緒的価値”にある。特にパッケージは時代のムードをまとうシンプルなデザインにニーズが集まった。「パッケージに投資比率を高めた」(ヴィークレア)、「シャンプーが喋ってくれるわけではない。そこに佇んでいるだけでキラキラした存在でいられるかが大切」(ステラシード)、「思わず手に取りたくなる新規性のあるパッケージに取り組んだ」(H2O)と各社がパッケージに力を入れ、従前の“これぞシャンプー”のデザインと差別化を図った。外側だけでなく、機能面においてもこだわりは忘れない。関係者は「いずれも品質の平均点が高く、粗悪な商品がないからこそ選ばれるための高付加価値が重要」と指摘するが、そこにも手を緩めず、SNSなどを通じて「ブランドの世界観を広げる」マーケティング戦略が功を奏している。
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