ヴァージニア・ルオッコ / カルトゥージア製品開発兼ブランドマネジャー プロフィール
イタリア・カプリ島生まれ。18歳までカプリ島で育ち、大学では東洋の言語などについて学ぶ。日本の歴史に興味を持ち東京に住んだ後にカプリに戻る。家業であるカルトゥージアを受け継ぎブランドのディレクションなどを手掛ける
伊発フレグランス「カルトゥージア(CARTHUSIA)」の日本2号店が麻布台ヒルズに登場した。ブランド誕生のルーツは1380年に遡る。当時アンジュー家の支配下にあったナポリのサンジャコモ修道院の修道士たちがジョヴァンナ王妃の訪問を機に準備した島々の花がきっかけだった。1948年に古文書の中からその記述が見つかり、伝説の香水の再現に成功。ハンドメードで生産される香水は2002年まで、イタリア国内でも一般に流通していなかった。日本では、豊田貿易が輸入販売を手掛けている。麻布台ヒルズ店のオープンを機に来日したヴァージニア・ルオッコ=カルトゥージア製品開発兼ブランドマネジャーに話を聞いた。
11人の職人がハンドメードでつくる香り
WWD:麻布台ヒルズに出店する理由は?
ヴァージニア・ルオッコ=カルトゥージア製品開発兼ブランドマネジャー(以下、ルオッコ):多くの人々が来る注目の商業施設で、出店するのにふさわしい場所だから。ブランドとしての認知度をアップするのにもいい場所だと思う。
WWD:「カルトゥージア」のブランド哲学は?
ルオッコ:世界中で知られているカプリ島発の香りと14世紀に始まった歴史を世界中に届けること。
WWD:カプリの修道院で生まれた歴史をどのように現代のクリエイションに生かしているか?
ルオッコ:14世紀にジョヴァンナ王妃のための花が入っていた花器の水の神秘的な香りを修道士が研究したところ、その元がカプリ島に咲く“ガロファノ・シルヴェストレ”というカーネーションだとわかった。それが、カプリ島初の香水と言われ、最初のフレグランス“フィオリ デ カプリ”が誕生した。世界一小さい香水製造所という別名を持つ修道院の前にある製造所では、今でも全フレグランスの6割は、修道士のレシピを元に製造している。全てのフレグランスは、カプリの花々や果実、ハーブなど天然由来のものを使用。11人の職人がボトリングからパッケージ包装まで製造過程は7割がハンドメードで行う。だから、大量生産はできない。
WWD :ターゲットは?
ルオッコ:さまざまなタイプの18種類のフレグランスがある。最近人気のグルマン系の香りも加わった。若い人から洗練された大人まで気に入ってもらえるものがあるはず。
WWD:ベストセラーとその理由は?
ルオッコ:アジアではレモンツリーやグリーンティーをミックスしたシトラス系の“メディテラネオ”が人気。人や場所を選ばない香りだから人気なのだと思う。全世界では、海の香りの“アマーレ”が好評だ。一番古い“フィオリ ディ カプリ”も人気だ。
地中海の島の小さな製造所から世界に
WWD:現在何カ国、何店舗で販売しているか?
ルオッコ:8カ国、約300店舗で販売している。アメリカ、日本、オーストラリア、香港では、ディストリビューターを通して販売。イタリアには直営店が12店舗ある。
WWD:今後の日本戦略は?
ルオッコ:クリスマス前には日本でECをスタートする。もっと多くの人に「カルトゥージア」を知ってもらいたい。今は2店舗だが、これからもっと販売拠点も増やしていきたい。
WWD:競合ブランドは?それらとどのように戦うか?
ルオッコ:「カルトゥージア」は本当に小さいブランド。少しずつ新しいことに挑戦しながら、ゆくゆくは、「ディプティック(DIPTYQUE)」や「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」のように、品質が高く認知度の高いブランドになりたい。
WWD:今後ブランドをどのように成長させたいか?
ルオッコ:「カルトゥージア」は歴史のあるブランド。今だに、地中海の小さな島カプリで職人がハンドメードで仕上げるメード・イン・イタリーにこだわった香水を提供している。その歴史を正しく伝えながら、ステップ・バイ・ステップで世界中にブランドを広げていきたいと思う。