毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月27日号からの抜粋です)
村上:恒例のメディア特集ですが、今回はイベントにフォーカスしました。各メディアのイベントリポートをメインにしようと思っていましたが、取材をすると、その裏にある意味や役割についてそれぞれの媒体の考え方が面白く、そこを深掘りしました。
所:特に「レオン(LEON)」は面白かったですね。編集者と読者の距離がすごく近くて、推し活コミュニティー的というか。広島でイベントを開催するとなったら、地元の読者が集客を手伝ってくれるという、編集部との関係の深さに衝撃を受けました。
村上:「レオン」はラグジュアリーをエンターテインメントに「モテたい」という本音と一緒に楽しむという軸が明確で、コミュニティー作りが本当に上手。自分たちで企画した3700万円超えのウェイクボードを2台売ったら、その進水式に石井洋編集長とパンツェッタ・ジローラモさんが一緒に行ってしまう(笑)。ノリと読者との強固なつながりは「レオン」ならではですね。そういう姿がSNSで拡散されて、「面白そう」とさらに人が集まって「レオン経済圏」を拡大しています。
所:集客や付加価値だけでなく、販売実績も作れるというのは、すごい強みで、うらやましかったです!コンデナストの営業担当を媒体別からカテゴリー別に変更して専門性を高めるという動きも、私にとってはインパクト大でした。
村上:コンデナストの営業担当が目指すのはコンサルタント。「この特集があるから広告入れませんか?」ではなく、営業を通してクライアントの「課題をどう解決するか」に寄り添っていくスタイルです。イベントは媒体のカルチャーを作る機会として強化するそうです。企業ごとに戦略の違いが際立ってきましたね。
所:「御社はどうですか?」と聞かれる回数も多かったですし、どこもイベントは気になっているようでしたね。
村上:そうですね。「ViVi」も久々にイベントを復活していました。コロナ禍の間はイベントができませんでしたが、デジタルシフトし、イベントなしでも成立してきたから、今回はゼロベースでやりたいこと、やるべきことを考えられたそうです。「イベント単体をマネタイズするのは難しい」というのは、どこも共通の認識。単体で考えるのではなく、そこに集う人や醸成されるムード全体でどう考えるかが大事です。