ハースト婦人画報社の「エル・ジャポン」は11月11日、サステナビリティ・プロジェクトの「ELLE ACTIVE!」が主催する「エル アクティブ フェスティバル」を開催した。「ACTIVE is POSITIVE! 私たちだから、できること」と題して、ただ消費するのではなく、自分らしい選択の軸を持ってもらうことでサステナブルな社会につなげることを願う。トークセミナーなどを通じて知的好奇心を刺激し、「エル」らしくハッピーでポジティブなアクションを促した。
他の媒体に比べて、「エル」が誌面のみならずイベントを通じて女性をエンパワーメントする歴史は長い。その第一歩は2014年、「ウーマン・イン・ソサエティ」と題して、自分らしく輝きながらハッピーに働く女性を応援することから始まった。坂井佳奈子エルグループ編集局長兼「エル デジタル」編集長は、「私たちが目指したのは当初から、シリアスな内容でも『エル』らしい好奇心を持って、読者と対等な目線で考えて、その輪を少しずつ広げること。地球規模の大きな課題は、時には不安のきっかけにもなってしまう。実際、過去にはそんな読者の声もありました。だからこそ横に座っている友達に『ねぇ、どうやって実践して、広げていく?』と投げかけるような世界観を目指しています」と語る。プロジェクトは、コロナ禍はオンラインにシフトしたが、一昨年は少人数でオフラインイベントも開催。森美術館とコラボレーションして、片岡真実・森美術館館長&三吉彩花と、71歳から106歳までの女性アーティストに迫るナイトミュージアムを開催した。坂井局長は、「すごく真剣に学んでくださり、オンラインでは味わえない刺激を楽しんでくれました。リアルイベントの意義を再認識したんです」と振り返る。そして今回のテーマは、誌面・ウェブを問わず読者からの興味が高いサステナビリティに決めた。
女性をエンパワーメントする「エル」の歴史は、はるか前から脈々と受け継がれている。振り返れば1945年11月21日、「エル」は第2次世界大戦直後のフランスで産声を上げ、女性をチアアップすべくファッションを取り上げた。「『エル』にはジャーナリスティックな視点があるけれど、ファッションのように、いつも女性に夢を与えることを心がけています」という。だからこそ当日5本のセミナーでは、「自分の意志を語れる著名人を起用していますが、トークは、一方通行ではなく対談式」と坂井局長。柴咲コウが目指すサステナブルな生き方にフォーカスしたオープニングセミナーでは、環境活動家の深本南と坂井局長がフレンドリーな口調で、本音を交え、語りかけるように企業側の「作る責任」とメディアの「伝える・伝わる責任」、そして消費者の「使う責任」などを説いた。共感できる取り組みには素直に賛同の意志を表明するなど、テーマの通り、今すぐできるより良い社会のためのハッピー&ポジティブなアクションをシェアした。
ハッピー&ポジティブなムードは、協賛クライアントからの反応も良い。小町亜梨沙ハースト メディア ソリューションズ セールス部 グループ1 エル セールス担当は、「社会課題に向き合うコンテンツやイベントは、時に一方通行で、相手に『何をしてほしいんだろう?』と思われてしまいがち。ここに『エル』のエッセンスを加え、読者にオープンマインドで考えていただき、『私に何ができるんだろう?』と一緒に考えるコンテンツは、社会課題に真摯に向き合っている企業の皆様にご賛同いただいています」と話す。今回の協賛各社は、「エル アクティブ フェスティバル」が掲げる「私たちだから、できること」の契機や具体例をブースで提供した。たとえばファイントゥデイ資生堂のヘアケアブランド「フィーノ(FINO)」は医療用ウィッグのためのヘアドネーションを募り、パナソニックは女性を輝かせるヘアドライヤーを環境視点で発信した。セミナーでは、ヘアドネーションとはどんなことをして、どんな人が、どんな思いで活動しているのか?を紹介。ヘアスタイリスト・毛髪診断士で、自然体かつオリジナリティのあるスタイルをSNSで公開する「エル」のスタイルインサイダー、shucoらが登壇した。「『エル』らしく、オシャレに、一人ひとりが始められる『私たちだから、できること』を五感で楽しんでいただく」(小町担当)よう工夫した。
参加者は、登壇者の投げかけに逐一頷き、セミナーが終了すると次のセミナーに参加すべく行列を作ったり、ブースで協賛各社の話に耳を傾けたり。「誌面にウェブ、SNSとメディアが発展すればするほど、リアルな空間で熱量を体感することが大事になっています」と坂井局長。来場者にはリピーターも多く、過去のイベントと比較してくれる熱心なファンも多い。
イベントに取り組むようになって10年。来年は、記念すべき10回目を迎えるという。坂井局長は、「今回のイベントは、新しい時代に向けたチューニングでもありました。来年のイベントに弾みがつけば」と語る。ハースト婦人画報社は、環境省による「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業」に参加。モデル事業の中ではイベントに関わるカーボンフットプリントの算出に挑み、会場備品の原材料調達から当日に使用した電力、登壇者やスタッフ、来場するゲストの交通手段まで、あらゆる二酸化炭素の排出項目をリストアップして、環境省・経済産業省が公表する「カーボンフットプリント ガイドライン」に基づいた計算方法で概算値を算出する。国内ではイベントのカーボンフットプリント算出事例が少ないなか、サステナビリティを発信するメディアとして、来年に向けての見える化に挑んで業界をけん引する。
「エル」ハースト婦人画報社 DATA
【雑誌】 創刊:1989年 発行部数:7万3部
【ウェブ】 PV:8400万 UU:700万
【SNS】X:26万5000 IG:57万1000 LINE:154万6000 YT:23万4000