ビューティ

美容好きの「マキアサロン」復活 創刊20周年を見据えて【編集長インタビューVol.1 集英社「マキア」】

「マキア」は来年、創刊20周年を迎える。20周年を機に、新しいタグラインを“明日の私をMAKEしよう”と定めた。伊藤かおりマキアブランド統括兼「マキアオンライン」編集長は、「『マキア』は創刊当時から、『美容の力を信じて、自分自身を楽しもう』と提案してきました。常に大切にしてきた“SELF LOVE”や“自己肯定感”という美容の価値観の原点に立ち返るため、タグラインを変更しました」と話す。「価値観も、それぞれが目指す姿も多様化しています。美容においても、一つだけが正解ではないのが今の社会。『マキア』でも、読者の一人一人がどんな自分になりたいのかを尊重しています」と続ける。「望む未来や“なりたい自分”があるのだとしたら、『マキア』はそれをかなえるための多彩なアプローチを示したい」。

伊藤編集長が「マキア」に携わって15年、「この間に美容のトレンドは、4〜5年間隔で4フェーズを経ました」と振り返る。第1期は“美容気づき期”。叶姉妹やIKKOら有名タレントや美容家が誌面に登場し、美容がエンターテインメント化した時代だ。続く“モデル憧れ期”には、ローラや平子理沙、「マキア」専属の鈴木えみら、美のアイコンとなるモデルが登場。彼女たちへの憧れから美容を始める人も多かった。第3期は“コスメが主役・私が主役期”。関心の対象が自分に向き、骨格診断やパーソナルカラー診断などに注目して、自分に合う美容を追求する人が増加した。“ベストコスメ”が話題になるようになったのもこの頃だ。そして、近年の“SELF LOVE期”へとつながると分析している。コロナ禍を通じて、美容の価値観は大きく変化した。インナービューティやスキンケアなど、意識がさらに内側へ向き、“ありのままの自分”を重視する時代に突入している。

多彩なアプローチの一つとして、今年はリアルイベント「マキアサロン」を復活。伊藤編集長は、「今後『マキアサロン』を雑誌、デジタルに次ぐ第3の柱に育てたい」と話す。「マキアサロン」は2004年、誌面で紹介するコスメが実際に試せる場として新丸ビルにオープンした。振り返ればショールーミングストアの先駆けともいえる画期的な空間で、メディアミックスにもいち早く挑戦した。伊藤編集長は、「『マキアサロン』に通ったことをきっかけに美容業界に就職したという声を聞くほど、美容好きには特別な空間でした」と振り返る。そして「コロナ禍でリアルの場が一切失われ、『直にコスメに触れられず寂しい』という声も多かったんです。美容はリアルが最も大切。社会情勢が落ち着いたら、美容の楽しさを思う存分に体感できる場を復活させようと考えていました」と話す。

満を持して、発信の場・交流の場として6月に「マキアサロン」を復活。今年は6、8、9、10月に“エイジング”や“アジアンコスメ”、“保湿”などテーマを決めて協賛企業を募った。「美容感度の高い参加者に、ここでしか得られない情報を持ち帰ってもらうことにこだわっています。協賛企業も、『マキア』読者の美容への熱量の高さや商品理解の深さ、質問内容の鋭さを評価してくださっています」。

また、美容のみならずファッションまで、総合的な自己プロデュース力が高いのが「マキア」読者の特徴だ。“保湿”をテーマにした10月の「マキアサロン」では、“潤いコーデ”をテーマにファッションコンテストを開催。伊藤編集長は、「キラッとしたメイクに、光沢感のあるとろみ素材のパンツなど、皆さん趣向を凝らして取り組んでくれました。中にはイベントのために全身用意した、という熱心な読者も。美容もファッションも全力で楽しむのが『マキア』の読者らしい」と振り返る。「マキアサロン」は、「マキア」を愛する読者のファンコミュニティーとしての役割も果たす。「一人で参加した読者もその場で友人を作り、連絡先を交換し、また会う約束をしているのを見かけます。読者のスタイルも多様化しましたが、たとえファッションやメイクの系統が違っても、美容という共通点があれば親睦を深められるんです」と話す。

「マキア」読者のコア層は30歳前後の女性だが、アーリーエイジングからリアルエイジングまで、さまざまな悩みを持つ幅広い年代の読者を抱える。伊藤編集長は、「創刊時の20年前に20〜30代だった読者にも再び『マキア』に触れてもらいたいと思い、40〜50代に向けた特集も予定しています」と語る。「マキア」を手掛ける19人のエディターは20〜50代。年齢も美容の嗜好も幅広いのが強みだ。

多様化した美容の価値観に合わせ、「マキア」は多様なコンテンツを用意する。毎週木曜日に配信するインスタライブについて伊藤編集長は、「台本を用意したようなお堅いものではなく、カジュアルにエディターとの対話を楽しむスタイルで行っています。今では固定ファンがつき、温かいコミュニティーが生まれています」と話す。顔を出すことに抵抗があるエディターは、音声コンテンツを担当する。「いろいろな美容の専門家に肌や体の悩み、ダイエットなどについて聞くポッドキャストを月に4回ほど配信しています。それぞれのエディターが得意ジャンルを生かしてコンテンツを企画し、積極的に発信しています」と続ける。

伊藤編集長は、「誰もが自由に発信できる時代になりましたが、美容誌のエディターだからこそ得られる情報や信頼感は、圧倒的な武器です。今後は、新しいタグライン“明日の私をMAKEしよう”を軸に、雑誌やデジタルと『マキアサロン』を掛け合わせ、『マキア』らしさをより表現していきたいです」と語る。


「マキア」(集英社) DATA
【雑誌】 創刊:2004年9月 発行部数:8万9000部
【WEB】 UU:218万2000 PV:1337万
【SNS】 X:28万 IG:33万 LINE:151万 YT:7万

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