今回お話を伺ったのは、吉田元工業の取り組みです。同社は創業100年の歴史をもつ、大阪のアパレル縫製会社。大正12年の創業以来、人にとって機能的で快適なアパレルとは何かを研究して形にしています。ファッション性を重視した企画・生産力が大きな特徴で、大手アパレルブランドのビジネスシャツなどを生産しているモノ作り企業です。
もともとビジネスシャツのOEM(相手先ブランドによる生産)を中心に事業展開していた吉田元工業は昨今、独自商品の開発にも注力しています。今回“創業100周年記念プロジェクト”としてMakuake Incubation Studio(MIS)が企画から伴走するかたちで新たに開発したのが、体を鍛えるビジネスパーソンのためのビジネスシャツです。
コロナ禍も落ち着き、最近は出社や対面商談が増えつつあります。改めて「見た目の印象」を意識して、体を鍛え始めたビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。
一方、体を鍛えるビジネスパーソン向けのビジネスシャツは前例がなく、「サイズやシルエットが合わない」「体をキレイに見せるのが難しい」という課題を抱える人たちがいました。そこで今回、体形が変化しても快適に着続けられる高いストレッチ性をニット素材で実現したビジネスシャツ「イージー フォーマル シャツ フォー トレイニー」を開発。希少な超長綿と高機能ポリエステルを日本に3台しかない編み機で高密度に編み立てることで、ニットと布帛の良さを両立しました。すでに300万円以上の応援購入が集まるなど、大きな反響を集めています。
今後は商品開発にも注力して、百貨店や自社ECサイトなどオンライン・オフライン含めて、幅広く商品を展開していく予定です。
実行者の想いとユーザー分析
実行者の想い
トレーニングに励むビジネスパーソンにとって、体形の変化は日常的に起こります。肩や胸に筋肉がつくことはトレーニングの成果でもありますが、その一方でビジネスウエアは窮屈になりがちです。
そんな課題を解決するため、Tシャツなどに使うニット素材を採用して、高いストレッチ性を実現したビジネスシャツを開発しました。「フォーマルさ」と「伸縮性」という既存のシャツでは両立ができなかった特徴を兼ね備えています。
ユーザー分析
体を鍛えるビジネスパーソンにインタビューしたところ、「服をキレイに着こなしたくて鍛えたのに、既存のシャツが体形に合わなくなってしまった」「シャツを美しく着こなすことが難しく、窮屈さを感じる」といった声が挙がりました。課題を抱えている人たちの声を実際に聞き、具体的に課題を分析した上で価値設計しており、当初ターゲットとしていた人たちに、きちんと届いている実感があります。
トップ画像やキャッチコピーの工夫
キャッチコピー
トレーニングする人向けのビジネスシャツ市場を作りたいという思いが明確に伝わるよう「体を鍛えるビジネスパーソンのためのイージーフォーマルシャツ」というシンプルなキャッチコピーにしました。ストレートに、鍛えている人がより美しく着られるシャツという価値を強く訴求しています。また今後の商品展開も考え、ビジネスが拡大できるよう余白を持たせています。
トップ画像
シャツ単体でトップ画像を作成してしまうと「ただのビジネスシャツ」と認識されてしまう可能性があるため、あえてトレーニングウエアでトレーニングしている姿を入れました。「トレーニー向けのビジネスシャツ」であるということが一目で分かります。シャツの着用姿とトレーニング姿の間にキャッチコピーを配置して商品の価値を印象付けています。
ページから商品やブランドの魅力を伝える工夫
視覚的に訴えるページ作り
「イージー フォーマル シャツ フォー トレイニー」は、ニット素材で高いストレッチ性を実現しています。体形の変化による窮屈感や不自然なシワに不便を感じず、常に美しいシルエットで着用できる点が伝わるよう、一般的なビジネスシャツとの比較など、画像をたくさん使いました。
ドレスシャツの新たな価値訴求
一般的なビジネスシャツには、布帛が使われています。そんな固定概念を打破し、体形が変化しても快適に着続けられる高いストレッチ性がありながら、ビジネスシーンに最適なハリと光沢感を併せ持つ、新たな価値を持ったドレスシャツであることの訴求を意識しました。
機能性のアピール
開発にあたり、吉田元工業は肌触りの良いスーピマコットンと、形状回復性に優れたタフな高伸縮機能糸「テクスブリッド®」を使用。日本に3台しかない特注の44ゲージ編み機で高密度に編み立て、特殊な加工を施してストレッチ性と光沢感を兼ね備えた独自素材を生み出しています。