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ニコラ・ジェスキエールが語る、“伝統から生まれる未来” 「ルイ・ヴィトン」ウィメンズを率いて10年目

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PROFILE: ニコラ・ジェスキエール「ルイ・ヴィトン」ウィメンズ・アーティスティック・ディレクター

ニコラ・ジェスキエール「ルイ・ヴィトン」ウィメンズ・アーティスティック・ディレクター
PROFILE: 1971年、フランス生まれ。ファッションの専門的な教育は受けていないが、15歳の夏に「アニエスべー」でインターンとして働き、91年には「ジャンポール・ゴルチエ」のアシスタント・デザイナーに。その後、複数のブランドでキャリアを積み、95年から「バレンシアガ」のライセンス部門でデザインを手掛けていたところ、97年にクリエイティブ・ディレクターに抜擢。構築的かつ未来的でありつつ、創業者クリストバル・バレンシアガの美学やモダンなシックさを受け継いだコレクションは高く評価され、瞬く間に人気デザイナーとなった。2013年、マーク・ジェイコブスの後任として現職に就任 COURTESY PHOTO ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は11月、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)=ウィメンズ・アーティスティック・ディレクターとの契約を5年更新した。2013年にマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)の後任として現職に就任し、今年で10年目を迎えたジェスキエールは、クリエイティブ・ディレクターが数年で退任することも珍しくない昨今では長命の部類だろう。ホテル・リッツ・パリのスイートルームでくつろぐジェスキエールに、一つのブランドに長く在籍することの意義や、就任の際に親会社であるLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)から求められたこと、自身のスタイルなどについて聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2023年12月4日号からの抜粋です)

今回の契約更新について、ジェスキエールは、「とてもうれしく思うし、こうして信頼してもらえて大変光栄だ。10年間で培ってきたものを、新たな章でさらに発展させていけることに深い満足感を覚える」と語った。

ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=ルイ・ヴィトン会長兼CEOは、「クリエイティブの方向性を示して指揮を取ることにおいて、ニコラは最も才能がある人物の一人。未来を予想することに長けており、トレンドを理解しつつ、新たなトレンドを生み出すことができる。これはマーケットリーダーに欠かせない資質だ。同時に、ニコラは『ルイ・ヴィトン』のアイコンや歴史に関する幅広い知識があり、メゾンを深く理解している」と高く評価。また、デビューショーで披露したアイコンバッグの“プティット・マル”から、初期に登場したバッグで今年8月に新作を発表した“GO-14”まで、レザーグッズのヒット商品を生み出す能力の高さについても称賛した。

現職に就任した際、ジェスキエールはアルノーLVMH会長兼CEOから、メゾンの“現代的なレガシー”となる新たなバッグを作り出すことを要請されたと話す。そこで「ルイ・ヴィトン」のトランクをミニチュアにしたかのような“プティット・マル(Petite Malle)”のスケッチを見せ、サヴォアフェール(受け継がれる職人技術)の継承と発展を表現したことを説明すると、「これは未来の『ルイ・ヴィトン』にとってアイコニックな商品となるものだ」と即座に気に入り、さまざまな色合いで展開して壁一面に飾ることを提案したという。「商品のデザインだけでなく、コレクションのショーからキャンペーンに至るまで、ベルナールは常にオープンな姿勢で私の意見に耳を傾け、建設的な意見を返してくれる。私とは異なる視点からの先進的なビジョンやアイデアに驚かされることも多く、とても刺激的なんだ」。ちなみに、“GO-14”は全体にあしらわれた菱形の格子模様が特徴的だが、これは初期のトランクの内側に荷物を守るために施されたキルティング技術の“マルタージュ”を着想源としている。

なお、LVMHはブランド別での売上高を開示していないが、ジェスキエールがクリエイティブを手掛けるようになって以来、「ルイ・ヴィトン」の売り上げはおよそ3倍に成長したと見られている。

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