アイスタイルのリサーチ業務を担うトレンド予測部は、24年上半期のビューティトレンドとしてヘアケアに力を入れる「美髪課金」を挙げた。23年にはドラッグストアやスーパーマーケット、飲食店、テーマパークなどの多くの企業が髪型・髪色の自由化を導入したが、その流れを受け24年はブリーチやハイトーンのニーズがさらに増加すると予測。その結果、ブリーチなどで傷んだ髪をケアする意識も高まるとみている。
粉状のトリートメント、髪の導入美容液……
ヘアケアアイテムが続々登場!
同社の口コミサイト「アットコスメ(@COSME)」に寄せられた投稿ワードの出現率を調査すると、「ブリーチ毛」という単語は5年前と比較して5.4倍、「ハイトーン」は4.8倍と大幅に増加していた。「アットコスメ」ユーザー8539人を対象に23年11月下旬に行ったアンケートでも、約34%が「カラーによる髪のダメージが気になるようになった」と答え、約54%が「ヘアケアにかける金額を増やしたい」と回答しており、消費者の関心がヘアケアに向いていることが伺える。
消費者ニーズに比例するように、ヘアケア市場も盛り上がりを見せている。「アットコスメ」上でのヘアケア商品登録数は昨年比で1.7倍。特に日常のケアに追加できるアイテムが続々と登場しており、頭皮ケアで人気を得ている「サボン(SABON)」のヘッドスクラブ(各90g、各2420円/各300g、各5390円)や、手持ちのトリートメントに混ぜる「トレンドホリック」の粉トリートメント“ヘアエイド”(全2種、各3回分、各1210円)、美容家が紹介し話題になった「コスメデコルテ(DECORTE)」の髪の導入美容液“AQブースティング トリートメント ヘアセラム”(200mL、5500円)などが注目を集めている。
東京・原宿駅前の「アットコスメトーキョー」でスタッフエキスパートとして勤務するウトン光恵氏は「これまではヘアオイルやヘアバームなどの髪のスタイリングを目的とした商品が売れていたが、昨今はヘアケアを目的としたインバス・アウトバスアイテムなどがよく動いている印象」と店頭の売れ行きについて話した。
若年層もインナーケアに夢中に!?
そのほかのトレンド予測として挙がったのが、若年層のインナーケアだ。韓国でインナーケアが流行している影響を受け、日本の若年層にも拡大すると予測した。韓国ではドラッグストア「オリーブヤング」明洞本店のリニューアル時にインナービューティコーナーを拡大しているほか、韓国大手企業のアモーレパシフィックなどの化粧品メーカーもインナーケアアイテムを発売するなどしており、24年はその動きが日本にも到達するとみている。
インナーケアは以前から美容感度の高い人やエイジングケアに関心がある世代を中心に支持されているが、美容にかける金額が多い人が顧客になりやすいため高価格帯の商品が多い。原田彩子リサーチプランナーは日本でインナービューティがトレンドになるためのキーワードとして「ひとくち美容投資」を挙げ、「若年層は限られた収入でやりくりをしなければならない。低価格かつ気軽にひと口で投資できるようなサプリメントが発売されれば、より支持されるのではないかと考える。また、グミなどでおいしく摂取できる商品や、思わず手に取りたくなるようなおしゃれなパッケージも売れるポイントになりそうだ」と分析している。
そのほか、同社はスティック状や混ぜるタイプなど、ユニークな形状のフェイスマスクが増えつつあることを受けた「エンタメマスク」、ファッション業界でも注目を集めている最旬スタイリング“クワイエットラグジュアリー”の上品さを取り入れたメイク提案「クワイエットラグジュアリーメイク」などを24年のビューティトレンドに挙げている。