パントン・カラー・インスティテュート(PANTONE COLOR INSTITUTE以下、パントン)は、2024年の「カラー・オブ・ザ・イヤー(Color of the Year)」に“ピーチ・ファズ(Peach Fuzz: Pantone 13-1023)”を選出した。
ピンクとオレンジの中間色の“ピーチ・ファズ”は、“ファズ”が綿毛を意味するように、触れたくなるような優しい印象の色合いで、柔らかな雰囲気で心を和ませるという意図で選ばれた。23年には強さやオプティミズム(楽観主義)を象徴する“ビバ マゼンタ(Viva Magenta: Pantone 18-1750)”が選ばれた一方で、24年は世界で起きている争いやコロナ禍後の規範を背景に、より心のこもった思いやりのある色を選ぶタイミングだったという。パントンのリアトリス・アイズマン(Leatrice Eiseman)=エグゼクティブ・ディレクターは、「コロナ禍が収束したとはいえ、世界のすべてがうまくいっているわけではない」と述べ、イスラエルとハマスの紛争や、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、ぬくもりや優しさを求める人々が増えたと指摘した。
「育むこと」「共感」「思いやり」といった言葉が連想される“ピーチ・ファズ”。「この色から感じられるのは、一体感を求め、人に触れたいという願望。それと同時に重要なのは、心と体、魂を豊かにするための静かな時間を自分に与えることだ」とアイズマン=エグゼクティブ・ディレクター。今後は“ピーチ・ファズ”色の、体を包み込むようなふんわりとした服やアイテムのほか、カクテルやスムージーといったピーチ系のドリンクが増えるかもしれない。
“ピーチ・ファズ”の色合いは、近年のランウエイコレクションではあまり採用されていないが、ニューヨーク・メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)コスチューム・インスティテュートで開催中の展覧会「ウィメン・ドレッシング・ウィメン(Women Dressing Women)」で展示されている1911〜12年のジーン・ハリー(Jeanne Hallee)のイヴニング・アンサンブルなどで見ることができる。