イスラム教徒にとって有害な物、中毒性のある物を排除した「ハラル認証」の商品(食品や化粧品、医薬品など)が日本でも注目度を高めている。3月にはハラル認証のベーカリーショップとシーフードレストランが相次いでオープン。化粧品でも2014年6月に化粧品の輸出入販売を手掛けるマーナーコスメチックスが、イスラム圏社会での製品製造販売を可能とする「ハラル認証」を受け、本格始動するなど、全世界で19億人いるといわれる巨大なイスラムマーケットへの参入が始まっている。
東京・三田にハラル認証のベーカリーカフェ「ハラルベーカリー カフェ リエゾン」が3月21日にオープンした。三田周辺にはイスラム教を信仰する大使館が数多くあること、慶応義塾大学の向いにあることで学生との文化交流をしてほしいなどの思いから出店した。スタッフ15人のうち13人がイスラム教徒を採用し、「自信をもってハラル認証パンを提供している」(同店スタッフ)。また、バックヤードには礼拝室を設けスタッフが安心して働ける環境を創出している。オープン後1週間はテレビで紹介されたこともあり、在日イスラム教徒をはじめ多くの来店客があり、売り切れ状態が続いたという。
アジア・中東を中心に59店舗を展開するハラルのシーフードレストランチェーン「ザ・マンハッタンカフェフィッシュマーケット」が3月23日、東京・池袋に日本初上陸を果たした。「都内で駅近郊という立地にこだわり、大きなハブである池袋に店舗を構えた」(同店スタッフ)。オープン後1週間で約900人来店(うち55%が外国人、45%が日本人)した。「店舗の認知度拡大を図り、日本人客を70%まで拡大したい」。また、今後は新宿や原宿、渋谷エリアへの出店を予定している。
化粧品ではマーナーコスメチックスが、化粧品の輸出入販売を展開するコラーナの協力の元、2014年6月にハラル認証を取得した。「食品業界を中心とした『ハラル認証』は中東、東南アジアで特に需要が高く、巨大なイスラム教徒市場で注目されている。食品に続き、化粧品でも必ず需要が高まり、必要となると判断し、化粧品でのハラル認証取得へと踏み切った」(同社)。ハラル認証の自社商品を展開する他、OEM(相手先ブランド生産)も行う予定であるため、認証取得は予想以上の反応があり、「作るにはどうしたらよいか、売りたい、買いたい」という声が多数寄せられているという。しかし当面は、既存の販売網であるマレーシア、タイをはじめ、中東諸国へと販路を広げる予定だ。5月をめどにハラル認証の化粧品の生産を始める予定で「高品質な日本製化粧品にハラル認証がプラスされることで、売り上げ増を目指す」。また、現在は日本での展開はないが、東京オリンピックに向けて日本的なコンセプトの商品開発・販売を視野に入れている。